野球には必勝リレーと呼ばれる継投が存在する。自チームがリードした試合の終盤に複数の選手が投げ、相手の反撃を封じて逃げ切る投手起用のことだ。
日本で有名なのは2000年代半ばのJFKと呼ばれた阪神リリーフ陣だ。ジェフ・ウィリアムス投手(J)、藤川球児投手(F)、久保田智之投手(K)の3人擁する阪神は2005年のセ・リーグを制したが、この年の阪神は6回までにリードしていた試合の勝率が9割を超えた。
絶対的な勝ちパターンがペナントレースの行方を左右すると知らしめたJFKは、日本プロ野球の歴史において革命的な3人だった。
JFKは久保田投手が先発へ配置転換になり、ウィリアムス投手も故障のため引退したことで解散したが、いまなお野球ファンに間では伝説的なユニットとして語り継がれている。
そのJFKと並び称される必勝リレーが2012年に巨人で誕生した。スコット・マシソン投手、山口鉄也投手、西村健太朗投手によるスコット鉄太朗だ。
2010年代の巨人黄金期を支えたスコット鉄太朗
この年から加入したマシソン投手は平均球速152キロの豪速球を武器にセットアッパーとして活躍。
すでに巨人のブルペンで欠かせない存在になっていた山口投手も、5年連続60試合以上登板となる72試合に投げ、防御率0.84の驚異的な数字で2度目の最優秀中継ぎ投手賞を受賞した。
その2人からマウンドを託され最終回に登板する西村投手は、チーム事情から抑えを任されると才能が開花。それまで燻っていた鬱憤を晴らすかのようにセーブを挙げ続けた。
必勝の勝ちパターンを見つけた巨人は2012年にセ・リーグ、そして日本シリーズを制覇する。
この年から2014年まで原辰徳監督の下で巨人はリーグ3連覇を成し遂げ新たな黄金期を作ったが、そこにスコット鉄太朗は大きく寄与した。
一番印象に残ってる試合は2013年の一人一殺
巨人に多くの勝ち星とタイトルをもたらしたスコット鉄太朗投手だが、2015年以降は各投手の配置転換や不調、故障が重なり3人揃う機会は減った。
そして、西村投手が今季限りでの引退を表明し、10月3日に会見を開いたことでスコット鉄太朗は完全に終焉を迎えた。
肩のケガが引退の直接的な理由と話す西村投手は、一番印象に残っている試合として2013年のリーグ優勝が決まった広島戦を挙げている。
「9回にマシソン投手と山口さんと僕の3人で投げて、優勝が決まったのが一番心に残っています。1点差だったので、すごく緊張していましたが、マウンドに上がる時のファンの大歓声に後押しされて最後は三振。すごい締めくくりをできたかなと思います」
この試合では2-1とリードして迎えた最終回に山口投手、マシソン投手、西村投手の3人が登板。それぞれが1アウトずつ取る継投で優勝に華を添えた。原監督の心にくい演出にファンも大興奮。
2013年の巨人がスコット鉄太朗の年だったことを象徴する試合だった。
西村、山口の引退でスコット鉄太朗は完全終焉
西村投手の引退会見からほどなくして、山口投手も引退の意向を固め5日に会見した。
入団テストを経て育成ドラフトで指名された山口投手は、自力で球界を代表する中継ぎ投手にのし上がり、9年連続60試合以上に登板した。だが登板過多も響いてか近年は不調や故障が続いていた。
最高のリリーバーでした。
▼球団通算登板
①#山口鉄也 642
② 堀内恒夫 560
③ 角 三男 517▼NPB通算ホールドポイント
① 宮西尚生 325
②#山口鉄也 324
③ 浅尾拓也 232▼球団最優秀中継ぎ獲得回数
3回 #山口鉄也 (09,12,13)
2回 マシソン (13,16)
1回 河野博文 (96)— giants record (@giants_record) 2018年10月5日
スコット鉄太朗のうち2人が引退すると知ったファンからは、リーグ3連覇時の圧倒的なパフォーマンスを思い出すコメントが多く寄せられている。
- スコット鉄太朗が強すぎて懐かしい
- あの時は6回までリードしとれば絶対勝てた
- 山口鉄也以上の育成の星は現れないだろうな。
- いい勝ちパって他球団を見渡してもあったりするけど、スコット鉄太朗には全然及ばんなっていつも思うな
- 全盛期のぐっさんが出てきたときの安心感ったら半端なかったのを今でも覚えてる
3人のなかで最後まで残るのが助っ人外国人として入団したマシソンだったことにも驚きを隠せないファンは多い。
ぐっさん引退とか悲しすぎる
まさか、スコット鉄太朗で最後に残るのが助っ人のマシソン先生だなんて😰
全盛期のぐっさんが出てきたときの安心感ったら半端なかったのを今でも覚えてる😌
9年連続60試合登板のまさに鉄腕でした
とりあえずお疲れ様でした👏
そしてありがとうございました🙇— オレンジ#6 (@orange6_bng) 2018年10月4日
原巨人を支えた投手が、いよいよ内海とマシソンだけになったな。内海はともかく、マシソンが最後まで残るとは誰も思わんかったよな
— ユーキ☆(G党でーす) (@Yuuki46490213) 2018年10月5日
高橋由伸監督が今季限りでの辞任を発表した巨人。後任人事では原監督の復帰も噂されているが、スコット鉄太朗のいない第3次原政権で再び巨人が王者に返り咲けるか注目だ。
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