2017-2018シーズンの世界最優秀選手賞(バロンドール)に輝いたルカ・モドリッチ選手。その華麗なプレースタイルに加えて、端整な顔立ちと肩まで届く長髪が印象的である。
過去、モドリッチと同じような髪型で印象的な活躍を残したプレーヤーは、同じくバロンドールの受賞経験があるチェコ人のパベル・ネドベド氏、そして指揮者と称された華麗なプレースタイルで名を馳せた同じくチェコ人のトマーシュ・ロシツキー氏が挙げられる。

パベル・ネドベド氏(c)Getty Images

トマーシュ・ロシツキー氏(c)Getty Images
この印象的なヘアースタイルは東欧の国のプレーヤーによく見られる髪型だ。逆にアジア圏ではほとんどみない髪型のため、金色がかった髪を持つ人種と相性がよいのだと思われる。
ちなみにモドリッチ選手の髪型は映画「チャーリーとチョコレート工場」でジョニーデップが演じた工場長の「ウィリー・ウォンカ」に似ていると欧州では報道されている。イメージが湧かない方は一度調べてみるとよいのではないか。
ロシアワールドカップにて、イングランド人記者が批判?
ロシアワールドカップでは準決勝では、モドリッチ擁するクロアチア代表とイングランド代表が対戦。その直前にイングランド人ファッション編集者がモドリッチ選手の髪型を批判する記事を出したことで話題になった。
その内容は髪型というよりも、モドリッチ選手が試合中に好んでつける細いヘアバンドに対する批判。自国のスーパースターであるデイビッド・ベッカム氏でさえ似合わなかったのに、なぜこのような髪型を続けるのかという記事であった。
最後は「もっとモドリッチ選手に似合う髪型があるはず」と結んでいるため、好意的な記事ではあったが、大一番の直前の記事であったため話題になったのである。
ちなみにこの試合の結果はご存知のとおり、クロアチアがイングランドを延長戦の末に2-1で破り、フランスが待つ決勝に駒を進めることとなった。
2005年ごろから現在の髪型に
モドリッチ選手が現在の髪型にしたのは、2005年頃からと言われている。2005年といえば、モドリッチ選手はクロアチアでプレーしている頃。この頃のモドリッチ選手を見たことがある方は非常に少ないのではないだろうか。

2006年のモドリッチ選手(c)Getty Images
モドリッチ選手が世界的に有名になったのは、トッテナムホットスパー、レアル・マドリードでの活躍後。「ある時期」を除いて一貫して今の髪型を続けているため、モドリッチ選手といえば長髪というイメージが世界的に定着している。
レアル・マドリードでのデシマ達成時は短髪に
前述した「ある時期」とは2014年のレアル・マドリードのデシマ達成時である。デシマとはチャンピオンズリーグの優勝回数が10度に達したことであり、これはレアル・マドリードの悲願であった。
モドリッチ選手はチャンピオンズリーグ決勝を戦う前に、公約として、優勝のあかつきにはトレードマークである長髪を短髪にすると宣言していた。
レアル・マドリードはモドリッチ選手の活躍もあり、決勝でアトレティコ・マドリードを破り、10度目のチャンピオンズリーグ制覇を達成したのである。
そのため、モドリッチ選手は公約通りに優勝後に髪を切り、優勝パレードには短髪で登場した。ちなみにこのときにハサミを入れたのは、チームメートであるクリスティアーノ・ロナウド選手、ガレス・ベイル選手の専属美容師であると言われている。

(c)Getty Images
しかし本人もあまり似合うと思っていなかったのか、その後は短髪を維持することはなく、元の髪型に戻るまで髪を伸ばしている。
ファンからも長髪のイメージが強すぎるのか、モドリッチ選手の短髪はあまり似合っていないという声が多かったようだ。
長髪はヨハン・クライフの影響か
モドリッチ選手のプレースタイルは、たびたびオランダの伝説的なプレーヤーである故ヨハン・クライフ氏と比較される。2人ともに細身のプレーヤーであり、高いテクニックと類いまれなサッカーI.Qから繰り出される華麗なプレーは非常に似ている。

(c)Getty Images
実際、若かりし頃のモドリッチ選手はその風貌とプレースタイルから「バルカンのクライフ」の異名を持っていた。
モドリッチ選手もクライフ氏を敬愛している。今でこそ10番のイメージが強い選手であるが、トッテナム、クロアチア代表ではクライフ氏と同じ番号にしたいという希望で14番を好んで着用していたほどだ。
2016年のクライフ氏の永眠時にはオランダ代表の14番のユニフォームと共にSNSで哀悼の意を表していた。
R.I.P. #cruyff pic.twitter.com/IJXcLz5K6t
— Luka Modrić (@lukamodric10) 2016年3月24日
そのクライフ氏もハンサムなプレーヤーとして知られ、現役自体はモドリッチ選手のような長髪が印象的であった。そのため、モドリッチ選手もクライフ氏のようにプレーをしたいという憧れを持って今の髪型を続けているのかもしれない。
モドリッチ選手はバロンドールも獲得し、クライフ氏と同じようにサッカー史に間違いなく名前が残る選手となった。そのため、これからはクライフ氏だけではなく、モドリッチ選手のプレーに憧れを抱いた子供達が同じような髪型でプレーする機会が増えるのではないだろうか。
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