【プロ野球】オリックス・バファローズ3連覇への鍵は…… 吉田正尚の穴を埋めるのはこの男

 

【プロ野球】オリックス・バファローズ3連覇への鍵は…… 吉田正尚の穴を埋めるのはこの男
ボストン・レッドソックス入りした吉田正尚の穴を埋めるのは誰か (C) Getty Images

熾烈な優勝争いの末にリーグ連覇、そして悲願の日本一に輝いたオリックス・バファローズは、来季はリーグ3連覇を狙うことになる。しかし、“戦国パ・リーグ”において、3連覇は1990年〜94年の西武ライオンズが最後。2連覇は今回のオリックスも含めて1995年以降8度あるが、そのいずれのチームも成し遂げられなかった。

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■盤石の投手陣

 その高く、困難な業である「3連覇」だが、「今のオリックスならば」と期待が高まっている。何よりチーム全体が若く、特に投手陣が非常に強力だ。今季12球団トップの先発防御率2.77を誇った先発陣は、2年連続投手5冠の完全無欠のエース山本由伸を筆頭に、宮城大弥田嶋大樹山岡泰輔山崎福也と居並び、山崎颯一郎に続いて山下舜平大が覚醒間近。ドラフト1位ルーキーの左腕・曽谷龍平も即戦力として楽しみだ。中継ぎ陣も阿部翔太、本田仁海、近藤大亮、比嘉幹貴、黒木優太、宇田川優希と面子が揃い、守護神・平野佳寿も健在だ。

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■難題・吉田正尚の穴

充実の投手力の一方で、打線には課題がある。今季のチーム成績を見ても、チーム打率.246こそリーグ2位だが、チーム本塁打数89本はリーグワースト。盗塁数はリーグ5位で、チーム総得点490はリーグ4位。勝率.539で並んだソフトバンクと比べた際、攻撃面では見劣りする。来季もソフトバンクが優勝へ向けた最大のライバルとなることは間違いない中で、その“2強対決”を優位に進めるためには、自慢の「投手力」を維持すると同時に、改善点が多い「攻撃力」をアップさせることが必要不可欠になる。

しかも難題が「吉田正尚の穴」である。今季、打率.335、138安打、21本塁打、88打点といずれもチームトップを誇ったスラッガーが今オフ、ポスティングシステムを利用してメジャー移籍。5年連続で打率3割2分以上&シーズン130安打以上を放ってきた男が抜ける穴はやはり、非常に大きい。

チーム内安打数順位

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確かにFAで西武から森友哉を獲得した。2019年に打率.329、162安打、23本塁打、105打点の好成績を残した実績を持つ強打の捕手だ。だが、今季成績は打率.251、92安打、8本塁打、38打点と物足りないもの。打者としての力的にも、吉田の穴を森一人で埋めるのは困難。単純計算で今季の吉田から森の数字を引いた「46安打、13本塁打、50打点」を森を含めた他の選手たちが団結してカバーする必要がある。

期待したいのは宗佑磨、中川圭太、頓宮裕真の20代中盤の選手たちと、2001年生まれの太田椋、2002年生まれの紅林弘太郎を筆頭に、来田涼斗、元謙太、池田陵真といった若手たちだ。多くの伸びしろを残している彼らの成長が、3連覇への大きな鍵となる。

 得点力アップへ“即効性”があるのは、やはり本塁打だ。今季は吉田の21本塁打がチームトップで、杉本が15本塁打、頓宮が11本塁打。このチーム内の2ケタ本塁打達成者数3人というのは、ソフトバンク(柳田悠岐、デスパイネ、野村勇)、楽天(浅村栄斗、島内宏明、辰己涼介)、ロッテ(山口航輝、レアード、中村奨吾)の3球団と同じ。西武(山川穂高、オグレディ、外崎修汰、中村剛也)と日本ハム(清宮幸太郎、アルカンタラ、万波中正、今川優馬)は4人だった。

チーム内本塁打数

■ニューフェイスの台頭と新外国人への期待

その中で吉田の21本がなくなるのは非常に痛く、1軍、2軍の中から吉田に代わって2ケタ本塁打を放つ選手の出現が求められる。今季の5本塁打に加えて2021年に9本塁打を放った宗佑磨か、同じく今季6本塁打に加えて2021年に10本塁打を放った実績のある紅林弘太郎か。それとも2軍で7本塁打を放った来田涼斗が1軍でブレイクするか、はたまたドラフト2位ルーキーの内藤鵬が1年目から爆発するか。吉田が抜けても、チーム内で3人以上の「2ケタ本塁打」をキープすることが最低条件。3連覇のためには「4人以上」を求めたいところだ。

ファームから期待の選手が上がって来るか

 「4人以上」を考えた際、必須になるのが外国人野手の活躍だ。今季のマッカーシー、バレラ、ラベロの外国人トリオは、いずれも“ハズレ”。3人合わせて6本塁打では、優勝に貢献したとは到底、言えない。来季へ向けて、新たに2021年に途中加入したカブスで出場56試合13本塁打と活躍した右の強打者フランク・シュウィンデルの獲得が決定的で、怪力自慢のレアンドロ・セデーニョも育成契約で獲得する予定。彼らが最低でも2ケタ、できるなら吉田の21本塁打以上の本塁打を放ってもらいたい。

期待外れだった2022年の外国人選手

前述したパ・リーグ各球団の2ケタ本塁打達成者を見ても分かるように、今季は外国人打者の不振がどの球団でも目立った(2ケタ達成20人中、外国人は4人)。それ故に来季、外国人打者で“アタリ”を引いたチームが、ペナントレースで一気に優位に立つことが予想される。吉田が抜けたオリックスにとっては、新外国人への期待は、より大きくなる。投手陣に隙はない。あとは京セラドーム大阪にどれだけ多くのアーチを架けられるか。それが3連覇および黄金時代構築への最大のポイントになる。

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提供●Baseball Times