【プロ野球】オリックス22得点・防御率3.05 vs. ヤクルト23得点・防御率2.09 それでも日本一となった理由

26年ぶりオリックス・バファローズ日本一の文字が踊る各紙

これが日本シリーズだ。

あらためてそう思った。

日本シリーズは30日、東京ヤクルト・スワローズの本拠地・神宮球場で第7戦が行われ、オリックス・バファローズが5-4でヤクルトを下し4連勝。昨年の雪辱を果たし26年ぶりに日本一に上り詰めた。

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■勝敗をわけた救援陣の起用法

ヤクルトにとっては先に2勝していながら4連敗で2年連続の日本一を逃した。オリックスからすれば、9回まで勝利をほぼ手中にしておきながら同点とされ引き分けた第2戦を含め、3戦して勝ち星なし。だが、そうした前哨戦は何の予兆にもならなかった。敵地での第6戦、7戦を含め、オリックスが4連勝を決めた試合運びは見事としか形容のしようがない。

特にオリックスは第1戦で投げた絶対エース山本由伸を欠きながらの優勝だけに、選手層の厚さもクローズアップされた。

すると、このシリーズの勝敗をわけたのは投手陣ではなかったか。

すべての試合が2点差以内で決着した21年のシリーズと異なり第3戦にヤクルトが7対1で快勝したため、シリーズを通しての得点ではヤクルト23に対しオリックスが22となる。山田哲人が19打席連続無安打、シーズン56発男の村上宗隆も打率.192のホームラン1本と抑え込まれたが、オリックスも最終的にMVPとなった杉本裕太郎は.231、主砲・吉田正尚も.174と抑え込まれ、両チームともに主軸に当たりが出たとは言い難いまま終わった。

逆に山本抜きでもオリックスの投手陣は安定していた。シリーズを通しての防御率はヤクルトの2.09に対しオリックスの3.05となり一見、ヤクルト有利に見える。だがオリックス投手陣はシリーズ新記録となる71奪三振を記録。奪三振率11.78と驚異の数字を残しており、ここぞの場面でヤクルト打線を封じ込めたことがわかる。ヤクルト投手陣もこの点では悪くなかったが、奪三振率は7.10とここでは水をあけられた。

さらに救援陣についても、オリックスが防御率3.55に対し、ヤクルトは2.52とこれも一見、ヤクルトが上。ヤクルト中継ぎ陣は実に0.75という数字を残しており、このまま試合が終われば、シリーズの形勢は変わっていただろう。しかし救援完了となると、ここに大きな差が生まれる。オリックス3.86に対し、ヤクルトは実に5.40。

ヤクルトの守護神マクガフは昨年も吉田正とジョーンズに一発を喰らい、救援に失敗。結局、今シリーズも3回1/3しか投げずに5失点を喫している。これは全7試合におけるヤクルトの失点に対し実に22.7%に及ぶ。マクガフは一塁への送球さえままならず、イップスさえ発症しているのではないかと心配される。

第2戦で同点3ランを打たれた阿部翔太の起用法を変え、シリーズ終盤は宇田川優希、山﨑颯一郎、ワゲスパックを巧みに使い分けた中嶋監督の采配と、マクガフと心中した高津監督の差が勝敗をわけた形だろう。ヤクルトは第7戦も含め守備の乱れも目立った。こうした短期決戦、接戦において、守りが崩れては、シリーズ2連覇は厳しかった。

それにしても昨季、今季とこれだけの接戦、熱戦を見せつけられると、さすが日本シリーズと思わざるを得ない。そう考えると、2019年、20年と読売ジャイアンツが福岡ソフトバンク・ホークスに8連敗した日本シリーズは一体、何だったのだろうか。ソフトバンクが、パ・リーグが強いのは「DH制に慣れているせい」だという論調が一時飛び出し、セ・リーグにもDH制導入を試みた監督がいたようだが…。

いや、プロ野球は、本当に面白い。

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著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。


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