【バスケW杯】ホーバスHC率いる12人が世界の舞台へ “ぶっつけ本番”の渡邊雄太が語った覚悟「パリに行けなければ最後」

 

【バスケW杯】ホーバスHC率いる12人が世界の舞台へ “ぶっつけ本番”の渡邊雄太が語った覚悟「パリに行けなければ最後」
バスケW杯に挑む渡邊雄太(C)Getty Images

25日に開幕が迫ったFIBAバスケットボールワールドカップ2023。日本代表は、国内で行われた国際強化試合の全日程を終え、22日、本戦の地である沖縄県へ入った。500人ほどのファンが那覇空港で出迎えた。

日本(FIBAランキング36位)は最後の国際強化試合をアンゴラ代表(41位)、フランス代表(5位)、スロベニア代表(7位)と戦い、フランス代表のルディ・ゴべア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)やエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)、スロベニア代表のルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)など、アメリカのプロバスケットボールリーグNBAで活躍するスター選手たちと対戦した。

◆日本代表がW杯メンバー12名を発表、8/25ドイツ戦で開幕

■渡邊を襲ったアクシデント

アンゴラ戦では、75-65と逆転勝利を収めた日本。試合後、富永啓生(アメリカ・ネブラスカ大)は、「前半はなかなか自分たちのペースでバスケットができなかった。 4点ビハインドというところで、 後半は自分たちのバスケットをするというところから考えていかないといけなかった。 自分たちのプレッシャーのディフェンスであったり、 相手の足が止まりかけたときのペイントアタックからのキックアウトであったり、 自分たちのバスケットができたところもあった」と振り返った。

しかし、このアンゴラ戦でアクシデントが起こった。代表に合流し初の公式戦だったNBAフェニックス・サンズの渡邊雄太が右足首を捻挫し、フランス戦とスロベニア戦は欠場となってしまった。トム・ホーバスヘッドコーチは試合後の会見で、「ちょっとピンチかな。でも、チームはよくやっている。 誰かがステップアップするし川真田(紘也・滋賀レイクス)が頑張った」と称えた。川真田は、大人気漫画『SLAM DUNK』の主人公になぞらえ、「リアル桜木花道」と表現されたり、渡邊も自身のSNSで川真田のことを日本の「秘密兵器」と表現したりするなど急成長を遂げている注目選手だ。

続くフランス戦では70-88、スロベニア代表相手には、68ー103と完敗した日本。それでも渡邊不在の中で川真田の奮闘ぶりは日本にとって好材料であった。204cm、110kgと体格に恵まれたビッグマン。他の選手に比べてオフェンス面で武器は少ないが、フィジカルを生かしたディフェンスなどでチームに貢献する選手だ。

これまでの強化試合でもダンクやハッスルプレーなどで日本に勢いをもたらしてきたムードメーカーでもある。フランス戦後にトップレベルの国と対戦できたことについて、「なかなかない経験。自分のプレースタイル的にもレベルアップできた。次はどれだけやりあえるか、もっとレベルを上げたい」と意欲を見せていた。川真田の活躍と更なる成長は日本がワールドカップで強豪国に勝利するために欠かせない。バスケファンからの期待を集める選手、川真田紘也をぜひ覚えていただきたい。

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■アンゴラ戦に続き躍動した富永

フランス戦の内容を見てみると、40-45と5点差で試合を折り返した日本だったが後半はフランスの底力を見せられた形となった。試合後、チーム最年長の比江島慎(宇都宮ブレックス)は、「このチームはディフェンスからしっかり流れを作っていかなければいけないと思うができなかった。 相手が上げてきたというよりは、自滅したという感じだと思う。前半は明らかに戦えていた。日本のいいところを出しつつ速い展開ができたが、強い相手は後半アジャストしてくるので40分間継続しなければならない。自分が3クォーターに出た時に点差が開いてしまった。途中から出る身としては、決め切らなければならないシュートやアグレッシブに行くことが反省点」と振り返っていた。

ホーバスヘッドコーチはそれでも、「リバウンドを頑張った。ディフェンスもよかったし勉強になった。ハーフタイムまでは互角だった。このメンバーは経験ないがどうしようとならずにうちのバスケをやったことが大きい。私はポジティブだ」と前向きだった。

アンゴラ戦に続きフランス戦でも活躍が光った選手もいる。富永は両試合で20得点の活躍を見せていた。アンゴラ戦は14本放ったシュートのうち6本が決まり、42.9%という高確率で沈めた。しかしホーバスヘッドコーチは更に高いレベルを求める。

「富永はそんなに熱くなってない感じかな。ノーマークシュートは結構落としていたじゃないですか。そういうオープンシュートを落とすと結構大きい。でもポジティブなことはノーマークシュートシーンを作った。 (対戦する)ドイツやフィンランドも日本よりサイズは大きいけど、ノーマークシュートはあると思う。入ったら全く雰囲気が変わる」と語った。富永だけの得点では勝利はない。日本のフランス戦、スロベニア戦でのスリーポイント成功率は29.5%、21.7%と、世界トップレベルのディフェンスに苦しんだ。勝つためには40%近い成功率が求められる。

ホーバスヘッドコーチはスロベニア戦後、「一生懸命準備した、やるしかない。この最後の2試合は結果出せなかったが、私たちは同じ道を歩いている。自信はある」と会見を締め括った。