MLBは9日(日本時間10日)、今季の優れた打者に贈られる打撃のベストナイン「シルバースラッガー賞」を発表。ロサンゼルス・エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手が指名打者部門で選出、2年ぶり2回目の受賞を果たした。
◆「打率.402で14本塁打」はキャリア最高、大谷翔平の“得意球種”を公式データで読み解く
■MVP年より向上した指標が多数
ここでは、打撃成績が群を抜いていた2021年と23年、同賞に輝いた2年間の大谷を公式データで比較してみたい。
平均打球速度
21年:93.6マイル(約150.6キロ) 全体7位
23年:94.4マイル(約151.9キロ) 全体3位
アーロン・ジャッジ、ロナルド・アクーニャJr.に次いでメジャー3位にランクイン。“最速”部門でも4位タイに。
最長本塁打
21年:470フィート(約143.2メートル) 全体10位
23年:493フィート(約150.2メートル) 全体1位
6月30日(同7月1日)に放った30号本塁打は、今季のメジャー最長飛距離を記録した。
ハードヒット率
21年:53.6% 全体8位
23年:54.2% 全体6位
打球速度が95マイル(約152.9キロ)を超える打球は「ハードヒット」と呼ばれる。今季は打率3割台に乗せつつも、力強い打撃は全く損なわれていないことがわかる。
打球方向割合
21年:引っ張り46.6%(26本)/センター返し30.6%(15本)/流し打ち22.9%(5本)
23年:引っ張り37.0%(18本)/センター返し37.8%(21本)/流し打ち25.2%(5本)
()内は本塁打数。「センター返し部門」での本塁打21本は今季メジャー最多を記録。プルヒッターだった2021年から打球方向に大きな変化が見られた1年だった。
フォーシームの打率
21年:.253(.164) 全体177位タイ
23年:.402(.350) 全体1位
※100打席以上の打者対象
()内は95マイル(約152.8キロ)以上の成績。21年が.164、昨季が.257、今季は.350に。課題だったメジャーの剛速球に適応を見せている。
MVPを獲得した2021年は、158試合に出場し打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁。長打率.592とOPS.964は、どちらもア・リーグ2位。本塁打王こそ逃したが、世界最高峰の打者に仲間入りした1年に。そして今季は、135試合に出場し打率.304、44本塁打、95打点、20盗塁。長打率.654、OPS1.066はいずれもメジャートップ。確実性にも磨きがかかり、打撃指標はさらに向上。名実ともにナンバーワン打者に挙げられる存在となった。
◆「.164→.257→.350」大谷翔平がメジャーの剛速球を“完全攻略”した軌跡 MVP年を凌駕する打撃進化
◆大谷翔平の打率3割を支えた“苦手球種”克服を公式データで読み解く「-4から+2へ」改善
◆大谷翔平の6年間「爆速・低弾道本塁打3選」 打球方向にも進化の証
文●有賀博之(SPREAD編集部)