【MLB】ヤンキースWS進出に貢献した投打“まさかの2人” データで振り返る「復活の長距離砲」と「苦労人リリーバー」

ヤンキースのプルペンを支えるルーク・ウィーバー
ヤンキースのプルペンを支えるルーク・ウィーバー(C)Getty Images

松井秀喜氏がMVPに輝いた2009年以来、15年ぶりのワールドシリーズ進出を決めたヤンキース

ドジャースと並ぶほどの超強力打線を擁し、ポストシーズンを勝ち上がってきたものの、ここまでの戦いは決して想像していた通りのものではないだろう。

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■ジャッジの不振を見事カバー

象徴的なのが、主砲アーロン・ジャッジ外野手の不調だ。ポストシーズンは全9試合に出場し、打率.161、5安打、2本塁打、OPS.704とシーズン時のような活躍はみられず。リーグ優勝決定シリーズに進むまでは本塁打なしと極度の不振に苦しんでいた。

今シーズンのヤンキースの勝利パターンとしては、ジャッジの前を打つフアン・ソト外野手とのコンビの力で打ち勝つ野球だったために、主砲の不振はポストシーズンを勝ち上がる上でかなりの痛手になると思われた。しかし、シーズン中は息を潜めていたまさかの男がジャッジの不振をもろともしない活躍を見せたのだ。

その男とは、MVPにも輝いたジャンカルロ・スタントン外野手だ。全9試合に出場し打率.294、安打10、本塁打5、OPS1.179という勝負強い打撃でチームを牽引した。特に第5戦、2点を追う6回、2死3塁の場面でレフトスタンドへ放った同点2ランは印象的だろう。今回のポストシーズンに、スタントンがガーディアンズとの試合で放った安打4本はすべてがホームラン。さらに、過去ガーディアンズと戦ったポストシーズンにおいて放っている8本の安打も全てがホームランという衝撃的な数値も明らかになっている。

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スタントンは2017年のオフにマーリンズからトレードでヤンキースに移籍。初年度は本塁打38本を放つも、2019年、2020年は怪我により多くの試合を欠場。2021年以降も持ち前のパワーは発揮しつつも、怪我による離脱が重なり大型契約で期待されたような成績は残せていなかったのが正直な所だろう。しかし、今回のポストシーズンでも発揮されたように短期決戦での勝負強さは健在。ヤンキース移籍後、6度目となるポストシーズンでの本塁打は通算16本で球団歴代4位にランクインした。ジャッジ復調の兆しがみられないなか、悲願のワールドチャンピオン奪還に向けてスタントンの活躍は必須となるだろう。

■コールの助言で球質変化、ブルペン支える苦労人

投手陣の中で、特筆すべき活躍をみせたのがルーク・ウィーバー投手だ。過去5球団を渡り歩きなかなかメジャーに定着できていなかった31歳のウィーバーだが、今季中継ぎとしてその才能を開花。9月にはクローザーに配置転換されると、62試合に登板、84イニングで防御率2.89、奪三振103、26与四球とキャリアハイの成績を残した。ポストシーズンでも8試合に登板、10.1イニングを投げ1勝0敗、防御率2.61、12奪三振、4セーブとまさにヤンキースの快進撃を支える活躍をみせた。

最大の武器は、フォーシームとチェンジアップのコンビネーション。ヤンキースに移籍後、エースであるゲリット・コール投手の助言のもとフォーシームの握りを改良したウィーバーは平均球速が2マイルほど向上。さらに、球質の変化から速球が約3インチも上方向にライズするようになったことでメジャー屈指の速球派投手になったのだ。

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デビッド・アドラー氏がMLB公式サイトに寄稿した記事の中では、「2024年のポストシーズンにおいて、ウィーバーは95マイル以上の投手の中でトップのライジングファストボールだった」とデータを用いて解説。彼のフォーシームの誘導上昇率は19.6インチで、タイガースのボー・ブリースケ投手と並び1位であり、いかにフォーシームで打者を圧倒しているかがわかると論じた。チェンジアップに関しても、2023年シーズンから大幅に改善されており、昨年よりも3.6インチ多く沈んでいるという。これにより、速球とのコンビネーションに磨きがかかっているのだ。

その契約年数の長さと年俸の高さから「不良債権か?」とまで囁かれたスタントンと、DFAを繰り返し複数球団を渡り歩いた苦労人のウィーバー。短期決戦での勝負強さを発揮する2人のキープレイヤーに、ワールドシリーズでも目が離せない。

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