2020東京五輪のマラソン日本代表を選考するマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が、9月15日に明治神宮外苑いちょう並木を発着とする42.195kmで開催。
女子は天満屋の前田穂南選手(23)が2時間25分15秒で優勝。2位は日本郵政グループの鈴木亜由子選手(27)が2時間29秒02で続き、両選手が東京五輪マラソン代表の切符をつかんだ。
天満屋の小原怜選手(29)は2位の鈴木選手に4秒届かず3位。今後の指定3大会で設定タイムを突破した選手がいなければ小原選手が代表になる。
いつの間にか、後ろに選手がいなくなった
女子のレースでは、20km付近で仕掛けたのが前田選手だった。
「優勝を狙っていました。自分でしっかり行くと決めていたので、不安はなかったです」
この動きにライバル選手が脱落していく。これまでの前田選手は早めの仕掛けで失敗したこともあった。しかし今大会に向けての準備はほぼ100%。もしこれで負けたらほかの選手が強かったんだなと諦めがつくほど万全だった。
20kmで飛び出したが、自分の中では仕掛けたつもりはなかったという。ペースも考えず、自分の感覚だけで走った。いつの間にか、後ろに選手がいなくなった。
あとはできるだけリラックスして走った。オリンピックのことはあまり考えていなかったという。
ブレないことが前田穂南の「強さ」
30kmの途中からきつくなってきて、なかなかペースが上がらなかったときは不安もよぎった。
でも厳しい練習を乗り越えてきたことを思い出して、しっかり最後まで走り、ゴールテープを切ったときはちょっとホッとしたという。
高校駅伝では補欠選手。そんな自分を脱却したいと天満屋に入った。過去に五輪選手を四人も輩出している強豪だが、指導陣は前田選手の特性を見極めてこれまでの実績を当てはめるようなことはせず、強みを引き出すことに注力した。
実業団生活は5年目となるが、競技以外のことに道を外すことなく、ブレがないことが前田選手の強さだという。
五輪本番は自分のリズムで
マラソンで世界と戦いたいという気持ちがあったため、20kmや30kmの変化走などを取り入れ、スピードへの対応ができるようになった。
MGCの出場権を獲得したのは女子で最も早く、その分準備期間もあった。大阪国際の走りも自信となり、いろいろな展開ができることに気づいた。
五輪本番では強豪選手に振り回されることなく、自分のリズムを守って戦おうと決めている。暑い東京という強みを活かせる準備をしていく計画だ。
「これから切り替えて、世界と戦えるような練習をこなして、金メダルを取れるように挑みたいです」
≪山口和幸≫
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