卓球の国際大会「WTTチャンピオンズ横浜2026」が神奈川県の横浜BUNTAIで行われており、連日熱戦が繰り広げられている。昨年に続く日本開催となったトップ選手が集う舞台で、日本選手も奮闘を見せている。
今大会に男子の第1シードとして挑んでいるのが、世界ランキング3位の松島輝空(個人)だ。日本勢トップに立った19歳の成長を見守ってきたコーチが語る、サウスポーの進化の理由とはーー。
◆中国勢撃破の松島輝空が語る自信「まったく勝てない選手はいない」 世界3位のサウスポーが日本開催で戴冠狙う【WTTチャンピオンズ横浜2026】
■エース張本智に続く存在に台頭
2007年京都府出身の松島は、若くして日本男子の将来を背負う逸材として注目を集め、24年のパリ五輪ではリザーブメンバーとして帯同。次の世代を担うサウスポーとして期待をかけられてきた。
2024年の世界選手権団体戦に初出場するなど経験を積んだ松島が、本格的にその才能を開花させたのは25年。「WTTチャンピオンズフランクフルト」では決勝でチウ・ダン(ドイツ)を下して同大会初優勝。自身初のトップ10入りを果たし、張本智和(トヨタ自動車)に続く存在として台頭した。

松島輝空(C)WTT
そんな松島の進化を支えてきたのが、元日本代表の森薗政崇コーチだ。同じサウスポーの森薗コーチは松島のベンチコーチを務め、国際大会の遠征でも生活面からサポートするなど、その成長を見守ってきた。森薗コーチは松島の変化をこう語る。
「(成長の理由は)選手としても人間としても、自覚が出てきたことだと思います。一緒に取り組み始めたのは、まだ17歳か18歳になりたての頃でした。日本代表としてものすごいプレッシャーを抱えながら、本人が周囲の人たちと一緒に乗り越えていきました。その中で、一枚、二枚も人間的に分厚くなったなと思います」
■成長を支えた悔しがる力
これまでの松島は、勢いに乗った時は手が付けられない一方で、劣勢時に崩れてしまうこともあり、トップ選手へ上り詰めるうえではメンタル面での課題克服が求められていた。森薗コーチは試合中、ベンチから大きな声で松島を鼓舞。松島もそれに呼応するかのように、声を出し、気持ちを前面に出す姿勢が目立つようになった。
「僕が関わり始めたときから、目的意識がしっかりしている、すごい選手だと思っていました。今の若い選手たちは、負けから逃げてしまう傾向があります。負けても『負けました』で終わってしまったり、負けをきちんと自分の中に落とし込めなかったりする選手も多い。ただ、彼は本当に負けを悔しがり、しっかり反省して、練習に取り組み、どんどん向上していきます」
そんな松島の姿勢は、着実に結果として身を結んだ。今年の「WTTチャンピオンズ重慶」では、準々決勝で世界ランキング1位の王楚欽(中国)と対戦。強力な両ハンドやロングサービスを軸にゲームカウント4-2で勝利し、団体戦を除けば初白星を飾った。森薗コーチも「一人のスター選手になった大きなきっかけは、王楚欽選手との対戦を何度も重ね、その中で一度勝つことができたこと」と、その一戦が分岐点になったと振り返る。
松島の快進撃は続いた。「ITTF男女ワールドカップ」では銀メダルを獲得すると、世界選手権団体戦でも主力として日本の銀メダル獲得に貢献。そして、7月の「USスマッシュ」では日本男子初となるグランドスマッシュ制覇を成し遂げ、中国選手を除けば男子選手2人目の快挙を達成した。

松島輝空(C)WTT
■「卓球全体に穴がなくなった」
森薗コーチは、もともとバックハンドに定評のあった松島が世界トップとの戦いを重ねる中で、フォアハンドでも勝負できるようになったと変化を感じ取っている。「卓球全体に穴がなくなったと思います」と完成度を評価し、その理由として継続することの重要性を説く。
「やり続ければ、できるようになります。ただ、それができないからこそ難しいとも思います」
ジュニアナショナルチームの監督も務める森薗コーチならではの視点で、ポテンシャルを開花させるために必要な要素を挙げた。
かねてからトップ5入りを視野に入れていた松島は、USスマッシュ制覇で世界ランキングを3位まで浮上させ、日本男子の不動のエースとして長らく君臨してきた張本智を上回った。松島自身は「張本選手とどちらがエースでも気にしていない」と意に介さないが、森薗コーチは世界トップ選手の仲間入りをした19歳と、さらなる高みを見据えている。
「世界1位を狙わないのであれば、僕たちは一緒にいないです。これまでもずっとこれを目指してやってきたので、今のままで最後まで進んでいく。ただそれだけだと思っています」

森薗政崇コーチ、松島輝空(C)WTT
地元開催大会となっているチャンピオンズ横浜で、その雄姿を日本のファンに見せている松島。才能を開花させた19歳の大器は、成長を見守ってきた理解者とともに、まだ見ぬ世界へと歩みを進めていく。
◆松島輝空、中国メディアが分析した19歳の飛躍の理由 世界3位浮上のサウスポーを同世代ライバルと比較「その差は歴然」
◆トップ5入りの松島輝空、データサイトが紹介する勝率「100%」の地域は? 最高位更新の19歳が中国&欧州勢にも奮闘
◆中国・世界1位と激闘の松島輝空に続く“スター候補”とは? 現地メディアが日本の新星たちに熱視線「10年の最も強力な予備軍」











