今を輝くテニス新女王アシュリー・バーティの朝活

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勝利だけではない「重要なこと」

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大会後、アシュリーと少し会話をする機会があった。戦う姿とは一変、穏やかな表情で接してくれる彼女に気を許し、私は疑問に感じていた朝の過ごし方について聞いてみることにした。

朝は単純に気持ちがいいの。それに1日の始まりにテニスがしたくなる。1日の時間を有意義に使えるようにしているし、その中に試合の時間があると捉えている。試合に集中するために過ごすのも大事だけれど、生活として様々な部分も楽しもうとしているかもね」

彼女の言葉は、とても私に響いた。朝早くに来て、練習時間を増やしているというだけではないのか。もちろん、今後に向けてトレーニングの一環であったことには間違いないだろう。

プロ転向後に一度引退を経験しているからこそ、またこの勝負の世界で戦うことへの心の準備作業でもあったのだ。

プロの世界に入ると、どうしても「勝利」という結果に人生が振り回される。敗者はまったく相手にされない現実を知り、敗戦のたびに選手の心は乱れる。同時に世界中を転戦することで、心身の疲労が溜まるのは確かである。

その日常を乗り越えるためには、日々の生活時間の使い方だけでなく、心の使い方も考慮しなければならず、かつ非常に重要な要素になる。朝練は、アシュリー・バーティというプロ選手の経験からの工夫だった。

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3年後の2019年、彼女はシングルスで全仏オープンを制し、世界一の座に辿り着いた。試合後の記者会見では、今でもあの時と変わらず、テニスへの情熱自身の人生観について素直な言葉で発信している。

勝利に懸ける人生。されど、それ以外にも重要なことはある

これこそまさにアシュリーの人生観なのではないだろうか。

天才的な戦略と技術を備えつつ、ツアーを楽しむ自然体の新女王は、3月12日からアメリカのインディアンウェルズで開催される『BNP パリバ・オープン』に、第1シードで出場する予定。第8シードでの出場が目される大阪なおみとの対戦も期待したい。

※編集部注:2020年のBNPパリバ・オープンは新型コロナウイルスの影響により9日、中止が発表

≪久見香奈恵≫

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