今週は中京競馬場でダートGI・チャンピオンズカップ(ダ1800m)が行われる。
無敗の三冠馬対決に注目が集まった先週だが、今週は「国内無敗」クリソベリルが満を持して連覇に挑戦。単勝1倍台濃厚な同馬に死角はあるのか? この記事ではデータ面からチャンピオンズカップを紐解き、攻略への糸口を見つけていきたい。
1.ダート界の絶対王者・クリソベリルに死角はあるのか?
2.カフェファラオに吹き荒れる「年内GI未勝利の3歳馬」という向かい風
3.データが導く2020チャンピオンズカップの穴馬候補は?
■ダート界の絶対王者・クリソベリルに死角はあるのか?
3歳にしてこのレースを制覇。前走JBCクラシックでも盤石のレース運びを披露、いざ連覇に挑むクリソベリル。
ダート界の絶対王者に死角はあるのか? ここで取り上げたいデータはこちら。
・馬番フタ桁番を引いた馬【0-3-1-35】
チャンピオンズカップは内めの枠を引き当てた馬と好相性。クリソベリル自身、昨年は3枠5番で勝利を飾った。
なお、連対をはたした3頭は2019年のゴールドドリーム、2018年のウェスタールンド、2017年のテイエムジンソク。見方を変えれば「3年連続で馬番フタ桁番が連対中」と捉えられなくもない。
「もう少し内がよかった。それでも外の先行馬を見ながら進めば、外々を回ることにはならないだろう」
枠順発表後、気を取り直すように語った音無調教師。この馬の特徴を知り尽くした鞍上・川田将雅の手腕が問われる一戦と言えるだろう。
積み重ねた実績から惨敗は想像しにくいが、前述のデータになぞらえれば連覇への死角が生じたのは事実。「何か」に先着されてしまう可能性は考えておいたほうが良いかもしれない。
■カフェファラオに吹き荒れる「年内GI未勝利の3歳馬」という向かい風
ダートで5戦4勝。初めて古馬と相まみえた前走シリウスSを勝ち切り、大舞台へとコマを進めてきたカフェファラオ。
GI4連勝中のC.ルメールを背に統一王者を目指す3歳馬に立ちはだかるのが下記データだ。
・年内GI未勝利の3歳馬【0-0-0-7】
ルヴァンスレーヴ、クリソベリルと2年連続で砂王者を生み出している3歳馬。
かつてはノンコノユメも連対圏に突入しており、一見すると好相性にも見えるが3頭には「ジャパンダートダービー勝ち馬」との共通点が。
それに該当しなかった3歳時のゴールドドリーム、オメガパフュームは古馬の壁を超えることができずに沈没。同世代相手のGIで惨敗を喫した2走前内容から、C.ルメールと言えども一筋縄ではいかないレースとなりそうだ。
■データが導く2020チャンピオンズカップの穴馬候補は?
過去6年中、5年で6人気以下の穴馬が連対をはたしているチャンピオンズカップ。この項では、データ面から上位進出の可能性を秘めた穴馬候補2頭を取り上げたい。
<穴候補1 ゴールドドリーム>
3年前の覇者にして、昨年2着馬。今年はやや精彩を欠くレースが続くものの、冬の尾張で復活を期する同馬で強調できるデータがこちら。
・レース週の追い切りで坂路4F51秒以内【1-4-1-2】
・叩き2戦目での成績【3-3-0-2】
追い切りの動きが結果へと直結するゴールドドリーム。今年、レース週に坂路4F51秒台を記録したのは今回が初めてだ。ローテーションも含め、過去の好走パターンを再現できた点は好材料と言えよう。
<穴候補2 クリンチャー>
今年から本格的にダート路線へと参入。抜群の安定感を武器に前走みやこSを制し、返す刀でGI奪取を目論む6歳馬にも背中を押すデータは存在する。
・12-2月の冬競馬【3-1-0-2】
・良馬場ダートでの成績【1-1-0-0】
芝時代もそうだったが、この馬は典型的なパワー型。力のいる馬場、馬力が求められる冬シーズンに良績が集中するタイプなのだ。
朝晩の冷え込みが示すように、冬将軍到来を予感させる日本列島。その状況下を誰よりも喜んでいるのはクリンチャー自身なのかもしれない。路線変更でひと花咲かせた古豪。さらに上のステージでも軽視禁物と捉えたい。
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。
twitterアカウントはこちら⇒田原基成@競馬ストーリーテラー
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