FAやポスティングシステムの恩恵を受け、毎年一定数の選手がNPB、KBOからMLBへの移籍を模索している。MLB移籍後に期待通りの活躍を見せる選手もいれば、思わぬ苦戦を強いられる選手も存在する。自国ファンの期待が裏切られるケースもそう珍しくはない。
現地専門メディアが「今後MLB挑戦の可能性あり」と予想する選手は誰なのか? また彼らに対しての現時点での評価はどうなっているのか?
2021年から「SPREAD」ではファンタシースポーツ専門メディアとしてアメリカで大きな影響力を持つ「RotoWire」と提携し、現地発の分析や予想を新たに紹介していく。
プレーヤーが実在する選手をピックアップして編成した仮想チームを用いて、ポイントなどを競い合うファンタシースポーツにおいて、戦力予想はまさにキモとなる部分。この分野において、ファンタシースポーツの本場・アメリカで確かな評価を得ている「RotoWire」は、未来の注目選手にどのような評価を下したのか。
今回は、「RotoWire」がMLB挑戦に向けて期待を寄せる日本人選手5名を紹介する。(各分析はNPBシーズン終了直後~12月中旬時点でのもの)
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■鈴木誠也(広島)
一部では2020年オフに、鈴木誠也がポスティングされるのではという予想もあったが、少なくとも来オフ以降の挑戦となる。昨季の打率.300、出塁率.409、長打率.544という成績は、過去4年で3度OPS 1.000超えを記録した鈴木としてはいまひとつのものであった。過去5年で平均27.6本塁打を記録しているが、盗塁は2019年の25個が最多であり、昨季はわずか6個のみ。この点から、MLBで真の5ツールプレイヤーとなる可能性は低いかもしれない。
それでも、彼は素晴らしい万能選手(守備力も含めて)であり、MLBでも堅実なレギュラー野手として活躍するチャンスは十分にある。
■千賀滉大(ソフトバンク)
千賀は2019年以降、MLBへの挑戦を視野に入れているが、所属しているソフトバンクはポスティングシステムを使用しないというポリシーを貫いている。2022年中にはFAとなるが、彼にはMLBでもローテーション投手として結果を残す力が間違いなく備わっている。90マイル中盤の直球と素晴らしいフォークを武器に、通算防御率2.69、WHIP 1.13という結果を残してきた。奪三振率が高いという点もファンタシーゲームの観点からはポイントが高い。
今後のシーズンでコマンド(※1)をより向上できれば、MLBでもローテーションの中心投手としての立ち位置を獲得できるだろう。
※1 狙ったスポットに投げる制球力。
■森友哉(西武)
2020年の成績は非常に残念であったが、それでも2019年にMVPに輝くなど、彼は才能豊かな若手選手である。小柄な捕手でありながら、2019年の打率.329、出塁率.413、長打率.547、23本塁打という成績は、スター選手として充分すぎるものだった。また、捕手としても堅実な守備力を兼ね備えている。もし2019年のような結果をあと1年、ないしは2年ほど残せれば、MLB各球団にとっても魅力的な捕手となるだろう。
■村上宗隆(ヤクルト)
NPBでも実質2年しかプレーしておらず、MLB挑戦はまだまだ現実的な選択肢ではないが、昨季セ・リーグトップのOPSを残した20歳については触れておかなければいけない。2019年は36本塁打を記録しながら低打率となったが、2020年は打率を劇的に向上させ、三振率も31.0%→22.3%と改善してきた。
今後MLB挑戦を目指すとすれば、2020年のような成績をコンスタントに残していかなければいけないが、この若さでこれだけの打棒を発揮できる点から考えると、彼がMLBでも活躍できる可能性は確かに存在している。
■山本由伸(オリックス)
すぐにMLB挑戦とはならないだろうが、すでに先発投手として充分すぎる結果をマークしており、いつの日かMLBでもインパクトを残してくれるはずだ。NPB屈指の直球は90マイル中盤を記録し、2019年の防御率1.95、WHIP 0.96という好成績につながった。さらに2020年は、奪三振率が前年の23.0%から30.2%まで向上している。
(年齢的に)2025年あたりまで待たなければ、MLB挑戦のチャンスは訪れないかもしれないが、今後彼がさらに成長してどんな投手となるか……そんな想像をしているだけで楽しい限りだ。
文=エリック・ ハルターマン(RotoWire)/編集・翻訳=SPREAD編集部
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