【フィギュア】王者の風格を纏う羽生結弦と新星・鍵山優真の存在感 世界選手権の氷上で夢を見る

3度目の世界選手権優勝が懸かる羽生結弦(2021年3月25日) (C)Getty Images

2021年フィギュアスケート世界選手権は3月24日~28日の日程で現在スウェーデンのストックホルムで開催真っ只中。今年で通算111回目の歴史あるこの選手権は、例年約3億人の観衆を惹きつけるオリンピックに次ぐ大会だ。

コロナ禍のため無観客での実施だが、昨年モントリオールで開催されるはずが中止となった幻の2020年選手権を思えば、どんな形でも今、息づいている選手たちの闘いをライブ映像で見られるということは、あらためて嬉しく、有難い。

競われる種目は男女シングルペアアイスダンスの4種目。日本勢は男女共に、全日本選手権シングルの上位3名である羽生結弦宇野昌磨鍵山優真、そして、紀平梨花坂本花織宮原知子がエントリーしている。

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■氷上とブレードの融合が作り出す非日常の世界

ところで、フィギュアスケートのフィギュアの意は元来「氷上に描いた図形」である。

約60m×30mという広いリンクで、スケーターはシューズに付いたわずか数ミリ幅のブレードだけを頼りにして氷上に立ち、そのブレード、日本語で言えば「刃」で、氷の上に軌跡を描いて滑る。それによりスケーターは通常では得られないスピードと、歩行や走行では表現できない「滑らかさ」を手にいれる。

フィギュアスケートは技術と芸術性を競うスポーツだが、優れたスケーターは氷上に軌跡を描きながら、あたかも重力から解放されたかのように全身を音楽に乗せて空間を包括し「風」となる。その風が時には小さな台風にもなり、瞬く間に行われる3回転や4回転のジャンプは、息を飲む観衆の時空の感覚を超越し、永遠に見ていたいと思わせる美しいスピンは日常を忘れさせ、ひととき、人々は氷上に夢を見ることが出来るのだ。

フィギュアスケートが絶大なる人気を誇るのはかくのごとく、氷上とブレードの融合が作り出す非日常、すなわち現実から数センチ浮かんだかのような夢の空間で、文字通りエッジィな、人間の限界にまで挑戦した技と共に全体の演技を芸術の域にまで極めるというとてつもなく難しいことを具現化し、魅せてくれるものだからだろう。


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