ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が26日(日本時間27日)、敵地アーリントンで行われたテキサス・レンジャーズ戦に「2番・投手」で先発し、5回4失点9奪三振で、2018年5月20日(同21日)のレイズ戦以来となる1072日ぶりの勝利を挙げた。
打者としては3打数2安打2打点、3得点と活躍し、日米通算100登板を勝利で飾った。
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■初回から激走。ホームへスライディング
打って、投げて、走って、大谷のパフォーマンスに野球ファンが酔いしれた。
米地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」によると、エンゼルスのマドン監督は試合後、「今夜の大谷を見て楽しめなければ、今後もベースボールは楽しめないだろうね」と語ったというが、まさに野球の醍醐味が詰まった試合であり、その中心にいたのが、確かに大谷だった。
まずは、「走」で見せた。初回1死走者なしで迎えた第1打席は四球で出塁。続くトラウトのヒットで二塁に進むと、2死一、二塁から5番・ウォルシュの右前打で一気に本塁へ。強肩でならすレンジャーズの右翼手・ギャロの本塁返球をかいくぐり、スライディングしながら先制のホームイン。秒速29.3フィート(約8.9メートル)と、メジャートップレベルの快足ぶりだった。
初回のスライディングにより、ユニフォームに土がついたままマウンドに上がった大谷。先発投手のユニフォームがいきなり汚れているという珍しいシーンだったが、その激走が影響したのか、「投」は不安定な立ち上がり。コントロールが定まらず、カルフーンの三塁内野安打、ギャロへの四球などで1死一、二塁のピンチを招くと、ローに逆転3ランを浴びた。さらに、ドールにも右犠飛を許し、結局この回は4失点した。
■2回以降は立ち直り、5者連続三振奪う
あっという間に逆転を許したが、ここからが「二刀流」の真骨頂。「投」でやられたら、「打」でやり返す。3点を追う2回2死一、二塁で回ってきた第2打席。鋭く振り抜いた打球は、右翼線を襲う2点二塁打となり、1点差に迫った。さらに、トラウトの左前適時打で二塁から生還、同点のホームを踏んだ。
すぐにバットで取り返した大谷。マドン監督が「自らヒットを打って追いついたことが大きかった」と指摘したように、“投手”大谷は2回以降、落ち着きを取り戻し、制球も安定。3回から5回にかけては、5者連続三振を奪った。
本人も試合後、「2回から仕切り直しができた」と話したというが、乱れた初回から一転、本来の投球でレンジャーズ打線を完璧に封じた。特に前回登板した際も有効だったスプリットが、この日も機能。9奪三振のうち、7つはスプリットで奪った(残り2つはスライダー)。