FC琉球の元日本代表FW播戸竜二選手がインスタグラムを更新して、青年時代に抱いたセリエAへの憧れや、そこから得たサッカーの魅力や奥深さを綴っている。
かつて世界最高峰と呼ばれたカルチョの国で播戸選手は何を感じたのか。
三浦知良、中田英寿も目指したセリエA
『ユベントス』の題で更新した播戸選手は、2001年にユベントス対フィオレンティーナを現地観戦したときの写真をアップして、「セリエAを見て育った俺たちの世代は、イタリアに対して、憧れに憧れていた。1番強いリーグで、1番強い選手たちがいた。いつかこの場所でプレーしたい。そんな憧れの場所でした」と当時の気持ちを思い返した。
セリエAは90年代に黄金期を迎えヨーロッパを席巻した。ジネディーヌ・ジダン、アレッサンドロ・デルピエロ、ロナウド、リリアン・テュラム、ファビオ・カンナバーロ、フランチェスコ・トッティパベル・ネドベド、アンドリー・シェフチェンコ…。
数え上げればキリがないスター選手たちがセリエAのクラブに所属していた。日本でも三浦知良選手はジェノア、中田英寿さんはペルージャを欧州デビューの地に選んでいる。
その後、サッカーバブルの終焉によりイタリアでは資金難に苦しむクラブが増え、2006年に発覚した大規模な八百長問題がトドメを刺したが、まだ2000-01シーズンはカルチョの熱が残っていた。何より、あのジダンがユベントスでプレーした最後のシーズンだ。
ジダン選手 -ユベントス時代 (c)Getty Images
初めてヨーロッパでサッカー観戦した日を、播戸選手は「1人で行ったイタリアで、1人でユベントスサポーターと見たカルチョは、何事にも変えられない人生の大切な1ページ」と当時の熱量をもって思い出す。
「歴史的にライバル関係の両チームのサポーター同士の戦い、ジダン、インザーギ、ルイコスタ。テレビで見ていた選手達が目の前にいる!サポーター席を見れば、椅子を壊して投げ合ってる!(笑)」
大興奮の中で90分は瞬く間に過ぎた。
「そんな大興奮の中、あっという間の90分。発煙筒が燃えまくり、煙で周りが見えなくなり、爆発があちこちである。今なら考えられないけど、あれこそカルチョやったね」
大事なのはしっかりとしたビジョンと計画性、ブレないこと
過去を懐かしみながらも未来に目を向ける播戸選手は、ユベントスが行った改革とブレない一貫性に注目した。
かつてユベントスはトリノと一緒にスタディオ・デッレ・アルピを本拠地にしていたが、このスタジアムは陸上トラックがあるためスタンドから距離があり見にくい、スタジアムが過分に大きすぎるなどの問題を抱えていた。
ユベントスはトリノ市と協議を重ね、2000年にデッレ・アルピの所有権を獲得し、イタリアのサッカークラブでは初の自前スタジアム建設に乗り出した。計画は途中で資金難により遅れたが、それでも2011年に新スタジアムは完成している。
「経営と強化のしっかりとしたビジョンがあり、それを計画性を持って、遥かに昔からブレずにやり続ける。それがユベントスの強さであり、今回、ロナウドを獲得出来た理由で、ロナウドも惹かれた理由だと思う」
ユベントス移籍のC.ロナウド選手(c)Getty Images
セリエAがかつての輝きを失ったと言われるなかでも、欧州カップ戦でトップを争うユベントスの強さには、そうした姿勢が関係しているのだろうと播戸選手は見る。
「1人の選手、1人の監督だけで強くなるクラブはない。ブレないクラブのビジョンや計画性を、長い年月をかけ、1歩1歩進んでいく。結局はコレしかないと思う」
そうした強さの秘訣に「サッカーは恐ろしく奥が深い。だから、いろいろな人達を魅了するんやろうね」と面白さを感じていた。
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