日本代表DF酒井宏樹選手がドイツのハノーファーから、フランスのオリンピック・マルセイユに移籍して3シーズン目を迎える。
低迷していたマルセイユに移籍
不動のレギュラーとして昨季はUEFAヨーロッパリーグ(EL)準優勝にも貢献したが、当初はサポーターに強い興味や期待を抱かせる移籍ではなかった。
マルセイユはリーグ優勝9回、フランス杯制覇10回を誇るリーグ・アン屈指の名門クラブであり、1992-93シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)を制して欧州王者にも輝いたことがある。
しかし、それらは過去の栄光であり、酒井選手を迎え入れた2016年夏のマルセイユは混乱の極みに達していた。
財政難から有力選手の放出が相次ぎ、先行きを不安視したサポーターが抗議行動を起こし、チームは身売り先を探すと発表して沈静化を図った。
ハノーファーを契約満了で退団し、移籍金0円で取れる酒井選手の獲得は、クラブの財政難が影響したコストパフォーマンス重視と見られた。
サポーターから愛される存在に
それでも酒井選手は、プレーでマルセイユサポーターの心をガッチリ掴んだ。
チームのために汗をかくことを厭わず戦う姿は、真面目で勤勉で仕事には熱心に取り組むという、欧米人が漠然と抱く日本人のイメージを体現してみせるものだった。
サポーターは「我々の侍」と日本語で書いた横断幕を掲げ、ハードワークする日本人サイドバックを称えた。
🇯🇵😉 pic.twitter.com/KjfCSA4Xql
— オリンピック・マルセイユ (@OM_Japanese) 2017年4月17日
公私ともに仲が良いトヴァンの存在
酒井選手はチームメイトからも高く評価されている。
右サイドでコンビを組むフランス代表FWフロリアン・トヴァン選手は、酒井選手が好守に献身的な動きを見せるため自分もプレーしやすいと話し、「彼のおかげで僕はいいプレーができている。どれだけ評価しても評価し過ぎということはない」と絶賛した。
昨季はブナ・サール選手が右サイドバックにコンバートされ、酒井選手は左サイドを守ることも増えたが、トヴァン選手との仲は健在だ。

フロリアン・トヴァン選手 (c)Getty Images
クラブが作成した動画の中で酒井選手がトヴァン選手について語っている。
「常にフローは僕の言うことに耳を傾けてくれますし、僕自身もフローのプレーをもっと引き出してあげたいなと思っているし、そういうお互いの信頼関係が仲の深さになってるんじゃないかなと思います」
トヴァン選手から「何かあったら相談してくれ」と言われているという酒井選手は、ピッチ上だけではなくプライベートでも信頼できる存在と相棒を語るが、ひとつだけ気になることがある。
「フローは僕に対して優しすぎる。何か注文したいこと、サッカーのことでもプライベートのことでも、もっと要求したいことがあれば気軽に言ってくれればそれに沿うように頑張るからって伝えられればいいと思います」
これを見たトヴァン選手は「I love you m’y brother」と自身のツイッターで反応した。
I love you m’y brother @hi04ro30ki pic.twitter.com/UHnY2wU05p
— Florian Thauvin (@FlorianThauvin) 2018年7月30日
ワールドカップ(W杯)後の休暇を終えチームに合流した酒井選手。今季も勝利につながる活躍でマルセイユを沸かせられるか。
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