レアル・マドリードのラファエル・ヴァランってどんな人?…スピードが武器の若きテクニシャン!

レアル・マドリードのラファエル・ヴァランってどんな人?…スピードが武器の若きテクニシャン!

レアル・マドリードの柱としてチームを支えるラファエル・ヴァラン選手。元監督のジダンさんから「ローラン・ブランの後継者」と呼ばれた背番号5の若きテクニシャンについて説明する。

RCランスの下部組織出身

1993年4月25日にフランスのリールで生まれたラファエル・ヴァラン選手は、7歳の時にサッカーを始める。その時に所属したのは地元のリール郡にあるASエレムだった。

地元にはLOSCリール・メトロポールという強豪クラブもあったが、2002年7月に加入したのはRCランスの下部組織だった。

当時のRCランス・トップチームメンバー(c)Getty Images

2008‐2009シーズンはU-16チームでプレーすると、2009‐2010シーズンはU-19チームに昇格してプレー。2010‐2011シーズンにはRCランスとプロ契約を締結。フランスアマチュア選手権(4部)に所属するリザーブチームに昇格してスタメン出場を続けた。

そして2010年10月の最終週にトップチームの練習に招集されると、11月6日に行われたモンペリエHSC戦でいきなりスタメンでのトップチームデビューを果たす。負傷中のアラディン・ヤイア選手の代役で無失点勝利に貢献した。

レアル・マドリードに移籍

本職はCBだが、守備的MFでもプレーできるヴァラン選手の評価は試合を経るごとに高まる。複数のクラブが彼に興味を示したため、RCランスは容易には引き抜かれないように、2011年2月3日に2015年まで契約を延長した。

(c)Getty Images

しかし2011年6月27日にレアル・マドリードがヴァラン選手の移籍加入を正式に発表。契約期間は6年で、移籍金は約1,000ユーロ(約13億円)と報道された。

(c)Getty Images

ヴァラン選手は契約前、彼と同じフランス人でレアル・マドリードのスーパーバイザーのジネディーヌ・ジダンさんとクラブハウスで対面。ジダンさんはフランスだけでなく世界のサッカー界でもスーパースターといえる存在だ。

ジダンさんは「ローラン・ブランの後継者」という表現で、ヴァラン選手を高く評価。ブランさんはジダンさんとともにフランス代表でプレーした名選手で、2010年から2012年までフランス代表監督を務めていた。

クリスティアーノ・ロナウドの移籍後は第4キャプテンを務める

ヴァラン選手は2012‐2013シーズンのリーガ・エスパニョーラ第35節RCDエスパニョール戦で、相手チームの選手との接触プレーで右膝の半月板を損傷した。この負傷で長期離脱となった時期以外は、主力として活躍している。

2018‐2019シーズンのレアル・マドリードで、ヴァラン選手は25歳の若さながら第4キャプテンに就任した。クリスティアーノ・ロナウド選手がユベントスに移籍したことによるものだ。レアル・マドリードではクラブの在籍年数を最重要視してキャプテンを決定する。

現在は2005年の夏に加入したセルヒオ・ラモス選手が第1キャプテン、2007年夏に加入したマルセロことマルセロ選手が第2キャプテンを務めている。

(c)Getty Images

そして2009年の夏に加入して第3キャプテンだったロナウド選手の移籍。2009年夏に加入して第4キャプテンだったカリム・ベンゼマ選手が第3キャプテンに繰り上がる形で昇格し。空席となった第4キャプテンにヴァラン選手が就任した。

フランス代表で活躍

(c)Getty Images

ヴァラン選手は早くから世代別代表には招集されていたものの、目立った活躍はない選手だった。才能が花開くのは、ロシアW杯からだ。

U-17代表で初招集してからブラジルW杯までは目立った活躍なし

ヴァラン選手はU-17代表で初招集。しかし出場のチャンスは巡ってこなかった。

次に招集されたのはU-18代表で、2010年8月24日のU-18デンマーク代表との試合で代表戦デビューを果たした。試合は2-0で勝ち、代表での初得点をマークしている。

その後はRCランスのトップチームの連続出場を優先し、U-18代表の招集は辞退し続けた。だが2011年2月3日のチェコスロバキア代表戦でU-21代表に初招集されると、この試合はスタメンフル出場。

そして、2012年8月にはついにフランスA代表に招集されたが、出場機会がなかった。代表デビューは2013年3月22日の2014年W杯・ヨーロッパ予選のジョージア代表戦となる。

この試合でスタメンフル出場したヴァラン選手は、同年3月26日のスペイン代表戦にも出場した。だがその後の負傷で欠場が続き、ウクライナとのプレーオフの第2戦で復帰。フランスはW杯の出場権を獲得したが、その試合でヴァランはまた負傷した。

2014年11月18日の親善試合のスウェーデン代表戦ではディディエ・デシャン監督からキャプテンを任されるほど信頼され、代表初得点をあげた。だがロシアW杯までは中心選手として定着できない時期が続く。

ロシアW杯でスタメンとして定着し優勝に貢献

ヴァラン選手がフランス代表として活躍したのはロシアW杯だった。もともと高かった潜在能力がレアル・マドリードの一員としてプレーすることでレベルアップ。その自信と経験を発揮した。

ヴァラン選手がスタメンに定着したフランス代表は、グループステージのグループCで2勝1分の戦績。初戦のオーストラリア代表戦を2-1で競り勝つと、第2戦のペルー戦は1-0、第3戦のデンマーク戦は0-0と2試合連続無失点で切り抜ける。

グループ1位で決勝トーナメントに進出すると、ラウンド16でアルゼンチン代表と対戦。4-3で点の取り合いを制すると、準々決勝はウルグアイに2-0で、準決勝はグループステージの3試合で9得点のベルギーに1-0で勝利。

(c)Getty Images

準々決勝と準決勝で堅守を見せたフランス代表は、決勝ではレアル・マドリードのルカ・モドリッチ選手を擁するクロアチア代表と対戦。クロアチア代表の攻撃に苦しむ場面もあったが、4-2で勝って優勝した。

プレースタイル

ジダンさんが「ローラン・ブランの後継者」と評したのは、鋭い読みで相手がパスを出した時やドリブルで仕掛けた時にボールを奪い、ボールテクニックに優れているという共通の長所があるからだ。

ヴァラン選手はさらに191センチの長身選手には珍しい抜群のスピードを備えている。攻撃のキーマンを逃さずマークし、的確なタイミングのタックルでボールを奪うことができる。

そして正確なボールコントロールを生かし、前方への精度の高いフィードで攻撃でも貢献する。これはブランさんにも見られた長所だ。

また、ヴァラン選手はフランス代表のチームメイトで同い年のポール・ボグバから「爺さん」というニックネームをつけられている。経験豊富なベテランのように常に冷静沈着なプレーができるからだ。

フィジカル面とメンタル面でCBとして重要な能力を高いレベルで持つヴァラン選手は、それらを見事に発揮したプレースタイルの持ち主といえよう。

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