【Wリーグ】東京五輪銀メダルの女子バスケを牽引するのは“泥臭いトヨタ”か その2連覇を振り返る

Wリーグ連覇を達成したトヨタ自動車アンテロープス(C)Wリーグ

■引退の三好南穂「心置きなくみんなに任せられる」

一昨シーズンまではエネオス・サンフラワーズが史上最長の11連覇を果たすなど、「一強」の時代が長く続いた。だが構図は変わり、ここ数年、選手移籍が活発になっていることも手伝って、今後はより多くのチームが優勝争いに絡むかもしれない。しかしその中で、選手やスタッフ、練習環境等が充実するトヨタ自動車の頭は一つ抜け出ているようにも思える。

2018年からトヨタ自動車の指揮官を務め、母国スペイン女子代表をワールドカップで2度のメダルに導いている名将、ルーカス・モンデーロ・ヘッドコーチは自身のツイッターで「この先何年もの間、連覇できるチームを作っていきたいです!」と日本語でつづっている。このファイナルをもって日本代表として五輪に2度出場の三好南穂がユニフォームを脱いだが、ファイナルでの後輩たちを「頼もしかった」とし「心置きなくみんなに任せられる」と述べている。

三好は、年齢や経験の違いを越えて、コート上では真剣に取り組むことでさらなる向上を目指す文化が、今のアンテロープスにはあると言う。「(対戦相手とだけではなく)チームの中でもやり合いますし、本当にみんなおちゃらけているように見えるんですけど、コート上では本当に真剣で、(年齢が)上の人がいるからちょっと抑え気味にやろうとか、そういうところはなくて、お互いにバチバチで、ケンカになるんじゃないかというくらいやり合っています。その後輩たちが成長していくカルチャーというか文化はこのチームにあるんじゃないかなと思います」。

28歳の若さでコートを去る決断をした彼女は、続ける。「そして後輩たちが先輩たちの背中を見て、どんどん吸収しようと自主練をしたり、そういったものがこのような結果に結びついています。あと、後輩たちも頑張りましたけど、河村(美幸、キャプテン)やエブリンの頑張りだったり、(ベテラン勢が)後輩たちに思い切りプレーできるような雰囲気を作れたのも、良いチームを作れた理由になったのかなとも思います」。

東京五輪での日本代表の銀メダル獲得の影響もあり、Wリーグにも注目が例年以上に注がれたシーズンとなった。この日、代々木第一体育館に詰めかけた観客は7151人。Wリーグ史上最多のファンを集めた。

熱しやすく冷めやすいところのある日本のスポーツ観戦文化にあってこれがどれだけ継続していくかはわからない。だが、ただ強いだけではない、明るく、個性の強いトヨタ自動車アンテロープスというチームが日本の女子バスケットボールを、その強さだけでなく存在感でもリードしていくのではないかという予感がある。

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著者プロフィール

永塚和志●スポーツライター
元英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者で、現在はフリーランスのスポーツライターとして活動。国際大会ではFIFAワールドカップ、FIBAワールドカップ、ワールドベースボールクラシック、NFLスーパーボウル、国内では日本シリーズなどの取材実績がある。


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