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【スポーツビジネスを読む】公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ島田慎二チェアマン 中編 千葉ジェッツの奇跡、その内幕

【スポーツビジネスを読む】公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ島田慎二チェアマン 中編 千葉ジェッツの奇跡、その内幕
かつての労苦を笑い飛ばしつつ振り返る島田慎二チェアマン(撮影:SPREAD編集部)

■「理念実現型、パッション先行型、猪突猛進、無我夢中」

島田さんはこの頃の記憶がほとんどないという。「無我夢中でした。『こうした戦略で』とか言っている場合じゃなかった。もちろん、ロジックがなさ過ぎてもダメですが、理念実現型、パッション先行型。結果を出すしかないと猪突猛進です」。

そして時折、熱弁を振るう島田慎二チェアマン(撮影:SPREAD編集部)

NBLにクラブを移すという「怖いもの知らず」の理念実行により、クラブも選手もステークホルダーもファンも同じ方向を目指す推進力となった。クラブの立ち上げから応援してくれた地域住民、ビジネス的に支援してくれていたパートナー(スポンサー)企業、ファンの思いが島田さんをさらに後押ししてくれた。

もちろん誰にでも成し遂げられる事業ではなかっただろう。しかし、スポーツビジネスを生業とする方、いやビジネスに挑み続ける方にとっては、以下の島田さんの言葉は参考になると思われる。

「小さなバスケットボール界ではありますが『変えなきゃ』という思いでbjリーグを飛び出しました。とにかく結果を出すしかない。大きな組織では、結果を出す前に、そのポジションにたどり着けなかったりして、大きなうねりを作り出しにくいかもしれません。しかし、たまたま当時小さなクラブだったこともあって、みなさんからノーマークでした(笑)。スティルス系かもしれません。ただ、結果はわかりやすいですよね。まずは競技として勝つ。事業的にはお客さんをたくさん入れる。これがすべてじゃないですか。いいクラブを作るにはいい選手をとって、選手から信頼されるいいヘッドコーチを連れて、強いクラブをつくる。地域の方に応援してもらえるよう企業努力する。ポイントは明快だと思います」。

振り返ってみれば、スポーツ界は、結果というものが非常にわかりやすい業界だろう。さらに、その結果を世に伝えやすい。

もちろん「結果を出す」と口にするのは簡単だ。実際、Bリーグは現在B1とB2を合わせて全国に38クラブあるが、千葉ジェッツのように奇跡的とも言える結果を示したクラブはまだそう多くはないのではないだろうか。島田さんの手腕こそが、チェアマンである自身を生み出した背景である点は想像に難くない。

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著者プロフィール

松永裕司●Stats Perform Vice President

NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoft毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist