2023FIBAバスケットボール・ワールドカップは今年8月25日に開幕。フィリピン、インドネシアとの共催という形ではあるものの、バスケットボール最高峰の大会が母国・日本開催となっている年でもある。
◆バスケは高2から…脅威の成長を遂げたシェーファー アヴィ幸樹に聞く進化の秘訣 前編
■日本代表としてビッグイベントで「まず1勝!」
もちろん、バスケW杯はBリーグ・シーホース三河のシェーファー アヴィ幸樹にとっても大きな目標だ。「バスケットボールで生きていこう…と思ったのは代表のおかげ。代表に感謝している。メンバーに残り、プレーしたい。前回のワールドカップ、オリンピックと1勝もできていないからまず1勝を」と力を込めた。
世界の舞台は「すごいに尽きる。対戦相手は世界的に有名な選手ばかりでNBA選手もたくさんいるし、とにかくレベルが高かった。その舞台に自分が立っているという喜びもあった」。そこでもアメリカ時代同様、通用する強みを探したという。
「レジェンドのガソル兄弟(パウ・ガソル、マルク・ガソル)とマッチアップしたが、フィジカル負けしなかった。(東京五輪で銀メダルを獲得した)フランスと親善試合で戦ったことも大きな自信になった。ルディ・ゴベールとマッチアップし、とにかくがむしゃらにハードに戦い、フランスに勝利できた。また、本気のアメリカ代表や、本気のフランス代表と試合をしてみたい」とオリンピックでスペイン代表と対戦した際の感触、1月18日に親善試合で強豪フランスに歴史的勝利を飾った感想を熱く語った。
■ロサンゼルス・レイカーズの八村塁は「大きな刺激」
八村塁が名門ロサンゼルス・レイカーズに移籍というバスケファンにとってはたまらないビッグニュースが話題となった。アンダーカテゴリーから日本代表としてともに戦ってきた八村の存在は大きい。「塁や渡邊雄太さんのおかげで日本のバスケ界は活性化していて光栄なこと。塁は練習でもマッチアップをして目標にしてきた選手。(現在の活躍は)めちゃくちゃ悔しいし、差をつけられている。心の中には悔しさと活躍している嬉しさがある。すごく大きな刺激だ」と教えてくれた。
そんな仲間とともに挑みたい2023FIBAバスケットボール・ワールドカップは、インドネシア、日本、フィリピンで同時開催される。日本の開催地は沖縄アリーナ。自国開催だったオリンピックはコロナ禍で無観客での試合を余儀なくされてしまった。「(2019年に行われた)さいたまスーパーアリーナでの親善試合で、17,000人、18,000人という観客が声援を送ってくれた光景が目に焼き付いている」と大観衆の前での試合に胸を膨らませる。
さらにシーファーは「2019年はラグビー日本代表がワールドカップで躍進し、オリンピックでは女子バスケットボール日本代表が銀メダルを獲得。去年はサッカーワールドカップで、日本代表がドイツやスペインに勝利しすごく盛り上がった。その光景に熱くなった一人だけど、こういう気持ちにみんなをさせたいと悔しい気持ちも芽生えた。これは、次は俺らだぞ」と活躍を誓う。
先月28日、25歳の誕生日を迎えたばかり。「あっという間だなと、ちょっとびびっている(笑)。20代後半、ピークで大事なときが来る。まだ成長できる。ピークのときにより良い選手でいられることを意識したい」と決意を新たにする。きっと、この先もシェーファーの成長曲線は上り続けるだろう。
最後には「オフコートも充実させたい」と微笑む姿に、20代の若武者の素顔が現れていた。
◆バスケは高2から…脅威の成長を遂げたシェーファー アヴィ幸樹に聞く進化の秘訣 前編
◆開催まで1年 “沖縄バスケ”が呼び込んだFIBAワールドカップ
◆Bリーグ最年長、元日本代表・五十嵐圭に聞く日本代表の現在地 「日本は世界レベルに」
■著者プロフィール
木村英里(きむら・えり)
●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長
テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。