【Bリーグ】原修太がけん引する最強・千葉ジェッツふなばしは22-23シーズン初の二冠達成なるか 後編

 

【Bリーグ】原修太がけん引する最強・千葉ジェッツふなばしは22-23シーズン初の二冠達成なるか 後編
チームの顔である富樫勇樹(写真左)とジェッツを支える 提供:千葉ジェッツ

天皇杯を制覇し、リーグ優勝へと史上初の2冠を目指し、千葉ジェッツふなばしをけん引する原修太はしかし、2020年、難病に指定されている潰瘍性大腸炎に苦しんできたことを公表した。

◆【前編】原修太がけん引する最強・千葉ジェッツふなばしは22-23シーズン初の二冠達成なるか

■2020年に公表した「潰瘍性大腸炎」

「今の体調はいい。いいドクターにも出会えた」と原はいうが、公表の2年ほど前に診断を受けた当時は、とても怠く腹痛に悩まされバスケットボールに集中することができなかった。「病名がわかり、よくなることしかない」と前向きになれたとき、同じ病気と戦うプロ野球オリックス・バファローズの安達了一選手の存在を知った。

「彼がスタメンで活躍しているのを見て、何も心配することはない」と勇気をもらうことができた。焦りや孤独と戦う時期もあったが、復帰に向けてトレーニングに励むきっかけとなった。公表までに時間を要したのは、「ちゃんと活躍してから公表し、同じ病気の方や似たような境遇の方に勇気を与えたい」と考えていたから。公表後、「勇気をもらった、元気が出た」という声が届くことで、また原自身の力にもなっている。

「ハラの輪」という社会貢献活動を立ち上げ、これまで似たような病気に苦しむ子供たちを試合に招待し交流を深めてきた。さらに試合中の音を振動に変えてオンラインで病院に伝え、アリーナの臨場感を味わってもらうという取り組みも行った。後日、病院を訪問すると子供たちが「原選手がこんな風だった!めちゃくちゃすごい!」と興奮気味に語ってくれたという。「思った以上に喜んでもらえた」と原は目を細めていた。原が努力し続ける原動力だ。

■「日本代表を目指している」

8月のW杯日本代表入りも見据える 提供:千葉ジェッツ

4月1日、2日には、千葉対琉球というリーグ上位勢の対戦が千葉ポートアリーナで行われた。試合会場では、チャリティコラボTシャツを限定販売。琉球の岸本隆一も、同じく潰瘍性大腸炎を患っている。このチャリティは「潰瘍性大腸炎の認知度向上や、治療および治療薬の発展に貢献したい」と、両選手の想いが込められたもので、売上の一部が潰瘍性大腸炎の関連団体へ寄付される予定。原が公表した後、岸本も続いた。「そこまで仲良くなかったがすぐに連絡を取った。仲間ですね、支え合っていきましょう」と声を掛け合ったという。天皇杯の決勝戦でも対戦した二人。「元気にプレーできることは当たり前じゃない。すごく嬉しかった」と振り返った。

原は「病気に悩んだり、落ち込んだり、元気がない子供たちにも、お腹が痛い病気を持つ選手が頑張っているという姿を見て勇気をもらってもらえたら」と試合前に話した。残念ながら1日に行われたGAME1、原がコートに立つことはなかったが、89-85で千葉は琉球を下した。翌GAME2では原も出場し15得点と活躍を見せるも76-78と一歩及ばず接戦を落とした。しかし両日、質の高いゲームを披露した両チーム、チャンピオンシップに向けても期待できる内容だった。

優勝へ向け、「めちゃくちゃ手応えがある」と語るレギュラーシーズンも残すところ6節。原はチャンピオンシップに向けて2つのポイントを挙げた。「全員が万全の状態で臨めること。そして、シュートが入らないこともあるだろうが、リーグ戦で培った積極性を失わないこと。そうすれば優勝できる」と言い切った。2度目のBリーグ頂点へチームを導くことができるか、Bリーグ発足後、初めて天皇杯とBリーグの2冠を達成できるのか、注目である。

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そして、原の目標はさらにその先にある。「プロ選手である以上、日本代表を目指している。呼んでもらうために、強いチームで活躍することが近道だ。メンバーにすべりこみたい。まずはスタートラインに立つために優勝し、貢献する」と力強く宣言。今年8月に行われるFIBAバスケットボールワールドカップ2023、原が世界のトップ選手と渡り合う姿をぜひ見たい。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)
●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。