セルヒオ・ラモス選手は世界でおそらく最も有名なセンターバックの1人だろう。スペイン代表、そしてレアル・マドリードのキャプテンでもある。
14歳から地元セビージャの下部組織で右サイドバックとして頭角を現す。その才能が認められ、17歳の頃にトップチームでデビューし、2004-05シーズンには18歳ながら41試合に出場した。
2005年夏に、スペイン10代選手としては最高記録となる2700万ユーロの移籍金で、レアル・マドリードに移籍。
当初はサイドバックで活躍することが多かったが、2010-11シーズンあたりから、モウリーニョ監督のもと本格的にセンターバックとして起用を一本化された。
攻撃に偏りがちなレアル・マドリードを支えているのは間違いなくこの選手だ。圧倒的な身体能力の高さ、サッカー選手としてのセンス、技術の高さなどから世界最高のディフェンダーともしばし言われている。ここぞと言う時の得点力の高さも目を見張る。
勝利を純粋に追い求め、感情をむき出しにするその姿に惹かれるファンも多い。
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現在32歳だが、10代からトッププレーヤーとして活躍し続けているというのは、並大抵のことではない。どういった特徴、プレースタイルで、世界トッププレーヤーとして長年活躍し続けているのだろうか。
俊敏性
サイドバックをしていた頃のスピード感を保ちつつセンターバックをしているので、俊敏である。一般的にセンターバックの弱点はスピード不足であることが多いが、ラモス選手の場合はそれが当てはまらない。スピード自慢の相手FW選手が裏に抜け出しても、軽々と1人で対応することができる。
2015年にCFパチューカが発表したドリブルスピードのランキングデータで、ラモス選手は並み居る攻撃的選手の中で10位にランクインしたこともある。
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フィジカル
世界でラモス選手のフィジカルと肩を並べられる選手はそう多くない。1対1でのボールの奪い合いでは絶大な強さを誇る。圧倒的なスペースがあっても、密集地隊でもお構いなく、相手プレーヤーを潰しにかかることのできる能力がある。
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予測能力
水際でシュートをブロックできる反射神経が図抜けているのが間違いないが、それをさらに驚異的なものにしているのがラモス選手の予測能力だ。相手FWがどこにシュートを打ってくるのかまるで知っているかのように軽々とシュートを弾く。
ギリギリの場面だけではなく、両サイドバック、特に持ち場を離れ、自由自在にピッチを駆け回る左サイドバックのマルセロ選手の裏を狙われやすいレアル・マドリードでは、ラモス選手の予測能力が鍵となる。
「ラモス選手のいないレアル・マドリードなって考えられない」という声もしばし上がるが、それはこのチームの戦術を可能とさせている選手が、紛れもなくラモス選手だからだろう。
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空中戦の強さ
身長は183cmとセンターバックとしては特別高いわけではない。しかし、空中戦でラモス選手が負けるところを見かけるほうが珍しい。
ディフェンスの場でその空中戦の強さが活かされていることは勿論だが、ここぞという場でフリーキックやコーナーキックから得点をあげる。
得点力
前述した通り、空中戦含め土壇場で非常に高い得点力を誇る。ラモス選手の得点によりレアル・マドリードは幾度となく重要な舞台での延長戦へのもつれこみや、タイトル獲得を引き寄せてきた。
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ビルドアップ能力
ロングボールに対するヘディングは、しっかりと味方にパスして処理。ギリギリの場面でのスライディングも、味方につなぐことができてしまう。サイドバックの経験から足元の技術にも優れていて、ドリブルでの持ち運びも苦にしない。
ロングフィードも高精度だ。クリアが精一杯の場面で守備側からボールを確実につなげることのできる選手がいるだけで、チームの攻撃力は大きく変化する。
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リーダーとしての資質
銀河系軍団としても名を馳せた「レアル・マドリード」という巨大なクラブのキャプテンを務めるためには、強大なキャプテンシーが必要とされる。大らかなラテン気質の選手が集まるスペイン代表を主将としてまとめていることからも、仲間から信頼を寄せられやすいプレーヤーであることがわかる。
2007年、試合中に心臓発作を起こして亡くなったセビージャ時代の親友アントニオ・プエルタ選手を悼み、スペイン代表ではプエルタ選手が代表で最初に着た背番号15番を着続けるなど、人情味もある選手だ。
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気性が荒い
一方でファールによる退場も多く、リーガ史上最多の退場記録保持者であるとともに、UEFAチャンピオンズリーグでも被イエローカード数が史上最多となるなど、カードコレクターとしても知られている。ちなみにスペイン代表での退場経験はない。
この気性・プレーの荒さからラモス選手を嫌うファンも多いが、そんなファンをもってしても「人間として見れば最悪だが、プレイヤーとしては最高だ」「ものすごいディフェンダーであることは承知してるけど、好きになれない」とプレーに関しては認めざるを得ないところが、同選手の凄いところだ。
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