【スポーツビジネスを読む】ABEMA仕掛け人・株式会社サイバーエージェント藤井琢倫執行役員に聞く 前編 『THE MATCH』地上波放送なしの舞台裏

 

【スポーツビジネスを読む】ABEMA仕掛け人・株式会社サイバーエージェント藤井琢倫執行役員に聞く 前編 『THE MATCH』地上波放送なしの舞台裏
『THE MATCH 2022』PPV成功について熱く語る藤井琢倫執行役員 撮影:SPREAD編集部

■ペイパービューは日本でも有効と証明された

日本における有料視聴について藤井さんは「2000円を出して映画館に行くのはごく普通。つまり、いい作品にお金を払うという文化そのものは日本にももともとあるんです。ですから、ネットでもいい作品にはお金を出すことについて理論上は通用すると考えていました。これまでも(中継は)無料というのは、みなさんの頭の中にはあったと思うので、それを払拭するのは大変だろうなと思ってはいました。しかし今回、地上波オンエアが立ち消えになり、5500円支払わないと観られない…となった瞬間、みんなが本当に観たいと思うものには、お金を出すと証明されました。これで逆に視聴者にもこれだけ簡単に視聴できると実感していただいたのではないかと思います」と分析しているという。

これは時代の流れ、またビジネスモデルの転換期の訪れたと見て取ることもできるだろう。NetflixAmazon primeなどOTTのサブスクが習慣化していたことも幸いしたに違いない。格闘技においても有償で視聴する習慣が根付かなかった理由のひとつはテレビの強さだと藤井さんは読んでいる。PPVが根付かなかった大きな要因は、やはり魅力的なカードをテレビ局が無償で用意していたからだろう。

既存の地上波と比較しインターネット・プロトコルを介した放送局ABEMAには広告モデルに加え月額サブスクモデルにも注力。そして一昨年からPPVにも挑戦し、さらに周辺ビジネスによって支えられている。つまりビジネスモデルがモノポリー化していない強みがあるのだ。

終始穏やかにとつとつと、そして笑顔を交えABEMAについて語る藤井さん 撮影:SPREAD編集部

藤井さんは「こうして多角的に収益を上げることで、権利元や興行主に還元できるビジネスモデルが出来上がりつつあります。つまり単一ではなく、どんな環境にも対応し、時代に即したビジネスモデルで収益を生み出すことができることが強みです。その時代、その時代、みなさんの観たい映像を提供していこうと考えています。その中では、今回の一戦をきっかけにPPVへの意識はだいぶ変わったと考えています」と今後の視聴スタイルの変化に期待を寄せている。

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実際「世紀の一戦」戦前には、視聴者数激減の憶測も流れた。しかし、各メディアの読みはむしろ外れ、PPVが有効である点が証明される結果となった。果たして時代が変わって行くのか、さらに詳しく訊ねたい。

<後編へ続く>

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著者プロフィール

松永裕司●Stats Perform Vice President

NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoft毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist

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