■「鉄板」だったはずの日本の守備陣に揺らぎ
そして、ここへ来て森保ジャパン発足当初からのチームコンセプト「良い守備から良い攻撃へ」の土台である守備陣全体に大きな不安が見えている。
長引く怪我からの復帰を果たした冨安健洋だが、アーセナルではレギュラーから外れている。そもそもクラブでは右SBでプレーしているため、日本の守備の要には試合勘やポジション、プレー強度など多くの懸念点がある。
右SBの酒井宏樹は今季4度の負傷離脱で満身創痍の状態だ。そして、左SBは長友佑都、中山雄太、伊藤洋輝の3つ巴の争いであり、適任者を見つけられていない。つまり、[4-3-3]システムの最終ライン全体に不安があるのだ。
吉田と冨安、酒井の3人は欧州での実績も豊富で、1年前の東京五輪にも召集された森保ジャパンの「鉄板」メンバーだ。そして、吉田と冨安のCBコンビがW杯アジア最終予選で負傷欠場した際は、板倉滉(ボルシア・メンヘングラードバッハ)がその穴を埋めた。
■ブンデス屈指のDF板倉がW杯欠場の可能性
板倉はブンデスリーガ1部のボルシアMGに完全移籍し、今季はすでに『キッカー』紙で2度のマン・オブ・ザ・マッチとベストイレブンに選出。第4節終了時には大衆紙『ビルト』の平均採点でリーグ全体のトップとなっていた。守備面での働きはもちろんのこと、攻撃面での評価も高い現代的なDFだ。
第6節終了現在、『キッカー』紙の平均採点では、吉田「3.83」、板倉「2.90」となっている。W杯初戦で板倉が先発しなければ、ドイツ人は喜ぶだろう。しかし、「新DFリーダー誕生か?」と思われた矢先、板倉は左膝内側側副靱帯を部分断裂。全治6~8週間の怪我でW杯出場が危ぶまれている。板倉は吉田、冨安に代わるCBとしてだけでなく、ボランチでもプレーできる。欠場となると、森保監督も頭が痛いだろう。
■伊藤の抜擢、主将交代の可能性
ただし、ドイツでは3バック時の左CBや4バック時の左SBでプレーする伊藤も今季フル出場を続けている。特にリーグ最多本数を記録する彼のロングパスに注目が集まっており、日本代表でも6月のパラグアイ戦で先制点の起点になった。『キッカー』紙の採点でも伊藤は「3.50」と、吉田より評価も高い。
板倉が欠場する欧州遠征では冨安をCBの軸とする流れとなりそうだが、そのパートナーや適任者不在の左SBには伊藤を推したい。
同じドイツではMF遠藤航が2季連続で1対1の局面での競り合い「デュエル」の勝利回数でリーグトップを記録。「デュエル王」と称される歴戦の猛者も誕生している。
遠藤は所属するシュツットガルトでも主将を担っている。吉田に代わって日本代表の新たな主将を担う可能性もあるのではないか。日本には2010年の南アフリカW杯直前に長谷部誠を新たな主将に抜擢した過去もあるのだ。
今回の欧州遠征では、「仮想ドイツ」のアメリカ戦でゲームプランなどを徹底的に検証し、エクアドル戦も含めた2試合で各ポジションでの切磋琢磨によって、さらにチーム力を引き上げられるかが焦点となる。
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文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)










