41歳のベテラン、リーグ最年長選手として2021-22シーズンより群馬クレインサンダーズに移籍した五十嵐圭は、元日本代表選手。五輪前には、代表でキャプテンとして活躍した川崎ブレイブサンダースの篠山竜青とともに、親善試合について解説。試合以外で久々にテレビに顔を覗かせた。この機会に東京五輪で活躍する日本代表について話を聞いた。
◆【東京五輪/バスケ】八村塁、渡邊雄太、2人のNBAプレーヤー擁する「史上最強」男子代表の大躍進に期待
■日本のバスケットボールが世界レベルになった
五十嵐に話を聞いたのは、東京五輪男子バスケットボール「日本対スペイン」が行われた翌日。
試合を見ながら「世界のトップチームであるスペインに対して日本のバスケットボールが世界レベルになったと示してくれた」と感じた。
しかし日本のゾーンディフェンスがスペインから攻略されたことについて触れ「世界の強豪国は試合中にアジャストできる」点、さらにスペインに得点を重ねられた日本が「離されないようにと攻め急いでしまった」ことを指摘した。
そういう隙を世界のトップレベルは見逃さない。畳み掛けたスペインは20点に差を広げ、日本は第2クォーター2点しか取ることができなかった。日本は88-77のスコアでスペインに敗れた。ただ後半、そのまま引き離されることなく盛り返して戦うことはできた。「試合の中で状況を見ながらアジャストしていければもう一段上がれる」と期待を込めた。
さらに「やはり日本のスピードは通用すると証明できた」と語る。スペイン戦でも富樫勇樹選手のスピートを活かして切り込んでいくプレーが日本の流れを変えた。今後の日本代表について「作り込んだフォーメーションをコールして落ち着きながらプレーをしつつも、日本人の良さのスピードでメリハリを出す。リバウンドから速い展開の攻めでファウルをもらっていた。そういうプレーが増えてくると良い」と進言した。
■「Bリーグはいい方向に向かっている」
五十嵐には自身が日本代表として活躍していた頃から常々言い続けてきたことがある。
「スポーツをメジャーにしたいのならば世界と戦えるレベルにならないとメジャースポーツにはならない」。
日本の中では競技人口が少ない他の競技が、バスケットボールよりも注目を集めるのは、何よりも「世界と戦える」から。バスケットボールは男女合わせ60万人と言われるほど競技人口が多いにもかかわらず、耳目を集めてこなかったのは、世界を舞台にできなかったから。五十嵐自身、もどかしさは感じていた。
Bリーグになり5シーズンが経過。コロナ禍での厳しさもあるがバスケットボール界としては「いい方向に向かっている」という。今、日本のバスケットボールは進化を遂げている途中だ。国際親善試合でフランスに勝利したよう、世界のトップレベルを苦しめるレベルへと日本代表も成長。国内でもバスケは、本当のメジャースポーツへと脱皮するだろう。
スペイン代表のパウ・ガソルは同じ41歳。ロサンゼルス・レイカーズでNBA優勝経験を持つパウの存在は、代表チームに深みをもたらしている。同世代が今も代表としてプレーする姿には刺激を受けた。世界を見ても、選手寿命が長くなっている。若い頃は漠然と「30くらいで引退しているんだろう」と思っていた。