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【ボクシング】寺地拳四朗、井上尚弥に続く4団体統一なるか 思わぬ代役・伏兵に複雑な心境で迎える“防衛戦”

 

【ボクシング】寺地拳四朗、井上尚弥に続く4団体統一なるか 思わぬ代役・伏兵に複雑な心境で迎える“防衛戦”
寺地拳四朗(C)Getty Images

WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗の防衛戦は、ジョナサン・ゴンザレス(プエルトリコ)を相手に8日に行われる予定だった。

しかしゴンザレスがマイコプラズマ肺炎にかかったことで来日が不可能になり、果たして「代役」が誰になるのか注目されていたが、WBA世界フライ級2位、WBO同級12位のアンソニー・オラスクアガ(アメリカ)に決定した。いったいどんな選手なのか、勝敗の行方と合わせて展望してみたい。

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もし、拳四朗 vs. ゴンザレスがメインイベントであれば、興行自体が延期されていただろう。拳四朗が持つWBA、WBC世界ライトフライ級、ゴンザレスが持つWBO同級の3本のベルトがかかる統一戦を簡単にふいにはできないからだ。

だが有明アリーナで開催される8日のイベントには、那須川天心(帝拳)のプロデビュー戦、井上拓真(大橋)のWBA世界バンタム級王座決定戦という大きな試合が組まれている。なんとか相手を見つけて、拳四朗の防衛戦をまとめ上げた、という意図が見えてくる。拳四朗陣営にしてみれば、複雑な心境だろう。次の試合が統一戦になるという保障はないからだ。

■拳四朗の世界戦対戦相手を2人撃破

逆にラッキーだったのは、挑戦者に指名されたオラスクアガだ。まだ、デビュー3年で5戦しか経験しておらず、全勝(3KO)という戦績。とても2本のベルトがかかるタイトルマッチに出場できるキャリアではない。

では、完全にアンダードッグかというと、そうとは言い切れない。対戦した5人のうちのひとりは、サウル・フアレス(メキシコ)。なんと拳四朗の5度目の防衛戦の相手だ。さらに、2度目の防衛戦の相手だったヒルベルト・ペドロサ(パナマ)にも勝利している。このあたりがWBA世界フライ級2位にランクされる理由だろう。

そして、直近の試合では、マルコ・サステイタ(アメリカ)を豪快に1ラウンドKOしている。この試合では強い左フックを中心に試合を組み立て、右ストレート、左アッパーで相手を攻略した。ときおりサウスポーにスイッチする器用さも光っていた。名トレーナー、ルディ・エルナンデスがついている点も不気味だ。

■4月15日の試合が決まっていて、体調は万全

心配なのは、「急に決まってコンディションは大丈夫なのか」という点。実は4月15日に韓国・仁川で元日本ユース・フライ級王者、白石聖(志成:12戦11勝1分)との試合が予定されていた。さらに、拳四朗と対戦するはずだったゴンザレスに昨年11月に敗れた岩田翔吉(帝拳)の再起戦のスパーリングパートナーを務めていた。

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つまり、体調は万全だったのだ。しかも、帝拳とマネージメント契約を結ぶ関係で、そのコネもあって代役の話が飛び込んできたというわけだ。いくつもの幸運が重なってのチャレンジ。「2度とないチャンス」と本人が喜ぶのも当然だ。

■拳四朗の心の問題が勝敗を分ける

では、拳四朗にとっては対戦者の変更はどうだろう。実績や格からすれば、何ランクもダウンといえる。しかし、ゴンザレスは、ある意味、手の内が見えていた。無欲でくるオラスクアガのほうが意外性はある。一階級上のフライ級ランカーという点も嫌な要素。加えて、サウスポー対策を練っていたところに、突然、オーソドックスへの変更というのもよくはない。

あとは心の問題。2021年に矢吹正道(緑)にKO負けしたときは、明らかにモチベーションを落としていた。3団体統一戦がなくなり、超格下の相手になった。しかも、6回戦ボーイ、那須川天心のアンダーカード。……闘争心が奮い立つのだろうか?

一度、苦杯を舐めてから、拳四朗のボクシングは変わった。矢吹とのリターンマッチ、京口紘人(ワタナベ)との統一戦では、それまでにない凄みを表に出して圧勝した。今回も無名の挑戦者を圧倒的な力の差でKOして欲しい。そして、井上尚弥(大橋)に続く4団体統一を実現してほしい。思わぬ対戦者変更で、試合がますます楽しみになった。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。