【Bリーグ】個人最高の栄誉を手にしより一層“河村勇輝の1年”の色を濃くしたMVP  アワードの課題も…

 

【Bリーグ】個人最高の栄誉を手にしより一層“河村勇輝の1年”の色を濃くしたMVP  アワードの課題も…
島田慎二チェアマンからMVPトロフィーを受け取る河村勇輝 撮影:永塚和志

■MVPについては議論の的に

国枝慎吾からベストファイブのトロフィーを受け取る河村勇輝 撮影:永塚和志

同イベントは今回、4年ぶりに有観客会場での開催となり、客席には異なるチームのグッズ等を身にまとったファンがかけつけた。

しかし、久々に行われた華々しい授賞式も、MVP等の投票結果を巡ってやや口の中に苦い味が残るものとなった。

MVPの結果については、今シーズンのB1 得点王(平均22.5点)で3つのカテゴリーで2ケタの数字をマークする“トリプル・ダブル”をリーグ新記録となる10度叩き出したビュフォードのほうがふさわしいのではないかという声も多かった。

投票結果を見ると、河村は合計496点、2位ビュフォードは同327点を獲得している。ちなみにMVPはベストファイブの中の最高得票獲得者が選ばれ、ベストファイブへの投票はメディア、全チームのヘッドコーチ(この2つは1票が3点となる)、全選手(こちらは1票が1点)が行うという制度となっている。

Bリーグ島田慎二チェアマンは、3日に更新した自身の“note”(文章を主とした記事コンテンツを発信するプラットフォーム)で、メディア票は「僅かに」河村が多く、ヘッドコーチ票は「同一ポイント」、そして選手票で河村が「2位以下を圧倒」と、この最後のところで差が生まれたと説明している。

ベストファイブの投票は、実際の試合で採用されている外国籍選手の“オン・ザ・コート2”と同じで、外国籍に対しては最大2名までしか票を投じることができない。対して日本人選手については3名以上記名することができる。

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この方式では外国籍選手の票は割れ、日本人選手に比べ不利になってしまうところは否めない。「この選手はベストファイブに入れておかないといけないよな」という日本人選手が「最大公約数」的に選ばれる可能性が生じてしまう。Bリーグ初年度の2016-17シーズンでニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)が選出されたのを除いて、残りはすべて日本人選手がMVPとなっている。

■7年目を迎えたBリーグも改革時期か

ビュフォードがこの投票方式を知っていたかどうか定かではないが、MVP受賞を逃した彼はアワードショー後の取材で河村には妬みなどはまったくないし祝福したいとする一方で「正直言って複雑な心境」と落胆の表情を隠せずにいた。

複雑な心境ということは自身がMVPにふさわしいと感じていることかと確認の意味で問われたビュフォードは「100%そうさ。僕らのチームの成功と自分がそこに果たした意味なんかを考えても…まあでも、しょうがないさ」と返した。

ビュフォードの島根は今シーズン48勝12敗(勝率8割)で、河村の横浜BCは上述の通り33勝27敗(同5割5分)と、それぞれ西地区、中地区の2位だったとはいえ戦績には開きがあった。

しかし、そもそもMVPはチーム成績をどれほど鑑みる必要があるのか、いやあくまでこれは個人に与えられる賞ではないのか、フォワードのビュフォードとガードの河村のように役割の違うポジションの選手をどう見比べるべきなのか――。

このあたりはリーグから指示があるわけでもなく、投票者の価値観に委ねられているし、そうあるべきでもあろう。ただ、MVP(他のいくつかの賞にも言えることだが)の選出とは様々な価値観の中から、往々にして比べようのない選手たちを秤にかけて見比べるという、ある種のナンセンスな作業だ。

シーズンでもっともまばゆい光を放ち続けたのが河村だったことに異論は多くないだろうが、その彼が「僕よりはるかに素晴らしい成績を残している選手がいる」と殊勝に話している。真意はわからないが、ビュフォードやその他に彼がMVPにふさわしいと感じた選手に対しての気づかいだったか。

MVPを廃止しろなどというわけでは無論、ない。ただ、エンターテイメント的な側面が大きいMVPなどの個人賞に「誰々が選ばれるべきだった」という議論は、とりわけその思いが印象から来ているものだとしたら、意味はさほどない。

ただし、Bリーグも7年目を終え、ベストファイブとは別にMVPの投票を設けるなど、制度に手を入れる時期に来ているのでないのではないか。

アワード参加者が集合しての写真撮影 撮影:永塚和志

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著者プロフィール

永塚和志●スポーツライター

元英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者で、現在はフリーランスのスポーツライターとして活動。国際大会ではFIFAワールドカップ、FIBAワールドカップ、ワールドベースボールクラシック、NFLスーパーボウル、国内では日本シリーズなどの取材実績がある。

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