■朝5時集合、車のライトを照明代わりに準備
初回から7年連続で出走していたものの、全5コースが完全復活した第10回大会には残念ながら、落選した佐藤さん。しかし、何かしらのかたちで関わりを持ちたいと思い、女川エイドを切り盛りする商工婦人部の現部長さんにお手伝いをできないかと申し出た。
女川エイドでは出走する度、美味しい「女川汁」をご馳走になっていた。婦人部の皆さんからもらった「がんばって!」の応援は、アップダウンの激しいコースを走り切る力になった。
初めてライダーを応援する立場で参加した大会当日は、朝5時集合。車のライトを照明代わりに、見たことのない量のネギと豆腐を切りながら、第1回大会からの婦人部の皆さんのご苦労に思いを馳せた。秋刀魚のすり身を丸めながら、「ライダーさんに美味しいと言ってもらいたい」と応援の気持ちも込めた。大会の広報大使を務めるモデルの道端カレンさんも、すり身の入れ込みを手伝ってくれた。気さくに話しかけてくれたことが嬉しかった。
■ツール・ド・東北での「応援」が人生の支えに
リアス式海岸ならではのアップダウンの激しいコースが特徴のツール・ド・東北。厳しいコースだからこそ、走りきったときの達成感は格別だ。
ここからは、佐藤さんの言葉をそのままお借りする。
「大人になってから、あれほどの肉体的な疲労はそうそう無い。骨の髄まで疲れるとはこの事だなと。普段の生活の中でも疲れはもちろんあります。でも自転車の疲れって、なぜに充足感、満足感、喜びが伴うのでしょうか? いつも考えます。
登りきった先で、子どもさんから『がんばれぇ〜』と声かけられたとき、その言葉が身体に染み渡りました。登坂してふらふら状態の私に、待ち構えていたおじいちゃんの一群が『これは拍手だっ』と讃えてくださったことがありました。
これらは、私の支えになっています。自転車だけでなく『応援』のもつパワーは、とてつもなくすごいことを自分にもたらす。という事ですかね……。
現在は走っている時、仕事をしている時、たくさんの奮い立たせてくれた言葉を反芻しながら、次の人生のステップを進みはじめている所です」。
今年も走る気満々で練習に取り組んでいたという佐藤さんは「来年こそは走りたい」と笑顔を輝かせていた。
今年はボランティアとして、参加者を応援してくれた佐藤さん。彼女の笑顔に励まされたライダーは数多くいたはずだ。
◆第10回記念大会はエイド増、現在地可視化サービスで“おもてなし” 「復興の歩みをペダル漕いで感じて」
◆ツール・ド・東北 宮城県内エイドステーション、地元住民が海の幸やエールでライダー後押し
◆「ツール・ド・東北」宮城県で開催 1900人が被災地駆け抜ける
文●工藤愛梨(SPREAD編集部)

















