「こういう気持ちで臨んだのは初めて」福岡第一、“危機的状況”乗り越え栄冠 Vの立役者・崎濱秀斗はさらなる挑戦へ【ウインターカップ】

 

4大会ぶり通算5度目の優勝を達成した福岡第一
4大会ぶり通算5度目の優勝を達成した福岡第一(写真:永塚和志)

■先輩司令塔・河村勇輝からの“助言”とは?

リングにアタックする福岡第一・崎濱秀斗

リングにアタックする福岡第一・崎濱秀斗(写真:永塚和志)

福岡第一といえば2018年、2019年大会と連覇を果たした時の河村勇輝(Bリーグ/横浜ビー・コルセアーズ)という絶対的なポイントガードが有名だ。プロ入り後に得点力を一気に上げ今や日本代表の中心選手となった河村も、高校時代はどちらかというと味方を生かすことに重点を置いた「パスファースト」の選手だった。

その頃と比べると、崎濱のような個の力量に秀で、パスだけでなく自らによる得点もする攻撃型PGが増えた。今回のウインターカップでアンバサダーを務めた河村は29日の決勝戦直前、「自分が高校3年生の時には考えられないような、1人で30点、40点オーバーの選手がいっぱいいたりというのは、本当にバスケットボールのレベルが上がってきているなと思います」と話した。

ただし、自身も近い将来の海外リーグ挑戦を明言する河村は「幅広くなんでもできる選手は大事。得点だけしかできない選手は良くない。PGとしてチームを勝たせるために何が必要なのかというのを瞬時に判断できる選手であってほしい」と、先輩司令塔として助言を送った。

また、より高い競争にさらされるアメリカでは、身体やプレーの能力だけでは抜きん出ることはできない。井手口コーチは崎濱の大人しさについて言及したが、崎濱自身も「シャイだったら生き残っていけない」と自認しており、覚悟を持って海を渡るつもりだ。

■女子は京都精華学園が3冠達成

2年連続の優勝を果たした京都精華学園

2年連続の優勝を果たした京都精華学園(写真:永塚和志)

女子は京都精華学園が2年連続、通算2度目の優勝を飾り、高校総体(インターハイ)、U18トップリーグと合わせて3冠(国体を合わせれば4冠)を達成した。

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28日の決勝戦で岐阜女子と対戦した京都精華は一時、16点の差をつけるも後半、相手からの追い上げを許し、最終クォーターにはリードが1点差となる場面もあったが、粘りぬいて63-59の勝利を手にした。

後半の流れは明確に岐阜女子が掴んでいたが、試合時間残り2分から、エースポイントガードの堀内桜花(3年)が中学時代からコートを共にしてきた188センチの留学生、ディマロ ジェシカ(3年)と八木悠香(3年)へ勝利を手繰り寄せるアシストパスを決めた。

2021年には1年生で先発司令塔を担いつつチームを準優勝に導き、ノールックパスなど華麗なプレースタイルで注目を集めた。一方、2022年の同大会では初優勝メンバーとなるも、その前には脚の疲労骨折で選出されていたU16日本代表の辞退を強いられるなど、失意も味わった。

チームを率いる山本綱義コーチから「言葉などでチームを引っ張っていく部分は少ない」と評されるように、今年はキャプテンを務めはしたものの、関西弁での話しぶりもあって堀内の醸し出す雰囲気はそれ以前と同様「のほほん」といったものだ。しかし、順風ばかりではなかったからこそ、高校最後の大会での優勝もひとしおだったに違いない。

■堀内桜花に宿る特別な才能

京都精華学園・堀内桜花

京都精華学園・堀内桜花(写真:永塚和志)

今月初旬には、Wリーグ/シャンソンVマジックへアーリーエントリー選手として加入することが発表されているが、将来的にはWNBAなど海外リーグでのプレーを目指す。

山本コーチは、堀内の「計算ができる」部分を彼女の持つ特別な才能として挙げた。それはコート上のどこに誰がどこにいるかを瞬時に把握できる「空間認識能力」とでも呼べるものだろう。

「(堀内は)『ここに3人いて、あと1人はどこにいるか』が見なくても把握できて、0.5秒後には何が起こっているかが計算できるんです。それがすごい、今までに出会ったことのない才能だと思います」(山本コーチ)

堀内を見ていると、現在、Wリーグ/富士通レッドウェーブでプレーする町田瑠唯を想起させる。2021年開催の東京オリンピックでの日本女子代表の銀メダル獲得に寄与し、その後はWNBA/ワシントン・ミスティクスにも所属した町田も上記のような空間把握能力を備え、卓越したパス能力で知られる。

その類まれな力量をもって、将来、堀内の海外で羽ばたく姿が見られるかもしれない。

◆「福岡頂上決戦」後にあった感動のシーン 福岡第一と福岡大大濠「王国」の両雄が勢ぞろいで

◆開始15秒で与えた脅威 福岡第一・井手口監督「それが鍵」狙い通りに選手が躍動

◆3本柱を支えた下級生の存在…京都精華学園は「自分たちの色」を求め次なるステージへ

著者プロフィール

永塚和志●スポーツライター
元英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者で、現在はフリーランスのスポーツライターとして活動。国際大会ではFIFAワールドカップ、FIBAワールドカップ、ワールドベースボールクラシック、NFLスーパーボウル、国内では日本シリーズなどの取材実績がある。

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