「ノジマTリーグ 2023-2024シーズン」は、レギュラーシーズンが終わり、22日から24日にかけて、プレーオフが行われる。
木下マイスター東京は、かつて日本代表の監督を務め、2021年の東京五輪後に指揮官についた倉嶋洋介監督が率いる。代表チームにも多くの選手を輩出するなか、層の厚さを武器に15勝5敗で首位通過。今季のレギュラーシーズンを戦い抜いた。
そんなチームにおいて、将来のエース候補として頭角を現したのが松島輝空(そら)。16歳の大器は国内外での活躍が光り世界ランキングも急上昇させるなど、次世代の男子卓球を背負う存在として大きな期待がかけられる。今回はプレーオフを前に単独インタビューを実施。松島の現在地とこれから見据える先について聞いた。
松島輝空(まつしま・そら)
卓球選手
2007年4月29日生まれ、京都府京都市出身。木下グループ所属。左シェークドライブ型。2014年7月の時「全農杯 全日本選手権 バンビの部」で優勝し、2019年まで6連覇。2019年3月には男子U-15で世界ランキング1位を獲得。2021年世界ユースU-15で男子シングルス・男子ダブルス・混合ダブルス優勝の3冠達成。2023年8月の「WTTコンテンダー・リオデジャネイロ」では準優勝に輝いた。2024年2月の「世界卓球2024 団体戦」ではベスト8進出に貢献。2020年から在籍するTリーグ・木下マイスター東京では2021年2月に13歳9カ月でデビューを果たした。
◆16歳松島輝空、金星逃すも世界1位相手に見せた大器の片鱗 惜しまれた第3ゲーム“9-8”での失点
■戸上の特徴は「ボールが速い」
今季のKM東京は戸上隼輔、篠塚大登、及川瑞基といった国内の実力者に加えて、世界ランキングでトップ10入りするリン・ユンジュ(台湾)も控える充実の陣容。そのなかで松島は出場機会を徐々に増やし、シングルスでは10試合に出場し6勝4敗、ダブルスでは5試合に起用され、3勝2敗の成績。今季はシングルス、ダブルスの“2点起用”も経験するなど、タレント軍団のなかで確かな爪痕を残し、倉嶋監督からの高い期待が寄せられた。
松島はTリーグでの自身の戦いについて、「最初は勝てなかったですが、海外で勝てるようになって、この舞台でも勝ち越せたのが自信になりました」とコメント。自身が得意だというダブルスの成績には「本当は全勝したかった」と悔しさを垣間見せながらも、「全日本でも2位になったペアで、本当に組みやすい」と語り、今季2勝を挙げた及川とのペアには手ごたえを感じている様子が窺えた。
チームには戸上、篠塚というパリ五輪出場を決めた日本の中心選手が揃う。チームの雰囲気について、「みんな仲がよくて、世界選手権でもプレーできてよかった。木下マイスター東京として(ともに)戦えるのが楽しい」と語る。今季新たに加入し中軸を担った戸上については「1番の特徴はボールが速い」と言及し、篠塚は「ミスが少ない卓球をする」とそれぞれの特徴を挙げる。普段の練習からレベルが高いKM東京の環境に身を置くことで、刺激を受けていると明かした。
■明かした現状の課題
松島の今季を語る上で触れておきたいのが国際大会での活躍だ。2023年8月に「WTTコンテンダーリマ」で及川とのダブルスで優勝を果たすと、その後行われた「WTTコンテンダーリオ」のシングルスでは、イ・サンス(韓国)、ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)といった各国の名手を次々と下す快進撃。世界ランキングを2桁に上昇させたこの時期を松島自身も飛躍のポイントに挙げ、「自信につながったし、大きかったです」と振り返っている。
鋭いバックハンドとサービスが持ち味の松島だが、現状の課題として明かしたのがフォアハンドとレシーブ。フォアハンドは成長期を迎え、国内外の大会で経験値を重ねたことで打ち負けない姿も目立つようになった。松島は、「前に比べて返せるようになったし、少しミスも減りました」と述べつつ、「世界の1桁に勝つにはまだ物足りない。そこさえクリアできれば勝つチャンスはあると思います」と、さらなる成長に意欲を見せる。
KM東京のチームメイトには、今季Tリーグで16勝2敗の活躍でシングルスの勝利数、勝率(.889)でトップに輝いたリン・ユンジュがいる。東京五輪では混合ダブルスで銅メダルを獲得し、昨年の「WTTコンテンダーフランクフルト」を制した台湾のエース。松島は、「ミスが少なくて、サーブ、レシーブが多彩。見習いたいと思います」と述べ、ともに練習するサウスポーの存在も、自らの成長に一役買っていると明かしている。