4日から静岡県の東名カントリークラブで、スタンレーレディスホンダゴルフトーナメントが開催される。
注目は稲見萌寧。
今季ルーキーとして臨んでいる米ツアーで苦しんでいる稲見は、米ツアーの最近8戦で7回の予選落ち、1回の棄権。最後の予選通過は4月のシェブロン選手権までさかのぼる。
日本ツアーは、9月のソニー日本女子プロ、住友生命Vitalityレディスに出場し、予選落ちと40位タイだった。
スタンレーレディスは20年大会で優勝しており、ほかの年でも好成績をあげている。ここで浮上のきっかけをつかみたいところだ。
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■2020-21シーズンの1勝目
統合シーズンとなった、20-21シーズンで最も輝いたのが稲見萌寧。シーズン9勝し、東京五輪では銀メダルを獲得した。
このシーズンのスタッツを見ると、「RANK」の欄は「1」だらけ。「パーオン率」「パーセーブ率」「平均バーディー数」「ボールストライキング」「ダブルボギー率」「パーブレーク率」「60台のラウンド数」「パー3平均スコア」「パー4平均スコア」「予選ラウンド平均ストローク」「第1ラウンド平均ストローク」「第2ラウンド平均ストローク」「第4ラウンド平均ストローク」が1位だった。
そして、このシーズン1勝目がスタンレーレディス。パー5で行われたプレーオフ1ホール目の第3打で、稲見らしいショットを炸裂させた。バックスピンをかけてバーディチャンスにつけ、見事バーディを獲得。ぺ・ソンウと淺井咲希を退けた。
このシーズンの快進撃は、このスタンレーレディスから始まった。
■好相性の大会
スタンレーレディスは優勝した20年大会以外の年も好成績をあげており、相性が良いことがうかがえる。5回出場し、トップ10が3回。最も悪い順位でも18位タイ。もちろん会場は、どの年も東名カントリークラブだった。
そして、計12.5ラウンドした平均ストロークが69.6。オーバーパーを記録したラウンドは1回(昨年の第2ラウンド)しかなく、高い安定感を発揮している。
この安定したスコアメイクを支えているのが、アイアンショット。23年大会でパーオンしたのは54ホール中52ホール、率にすると96.3%で1位。2位は47ホールで大きな差があった。
他の年の大会でもパーオン率が高く、22年が3位タイ、21年が13位タイ、20年が1位タイ、19年が3位タイだった。
稲見のパーオン率が高いのは、スタンレーレディスに限ったものではない。年間を通したパーオン率は、19年が1位、20-21年も1位、22年が2位だった。
19年の記録は78.21%。今季圧倒的な強さを見せている竹田麗央が76.53%ということを考えると、この頃の稲見のアイアンショットの精度が、どれだけのものだったかがわかるのではないだろうか。
棄権を挟み4戦連続予選落ちがあるなどした23年のパーオン率は、9位と順位を落としたが、豊富な練習量で磨かれたアイアンショットの切れ味はまださびていないはずだ。
■2021年大会は渋野日向子が復活優勝
21年大会では渋野日向子が、4人のプレーオフの末、約2年ぶりに優勝。復活を印象付け、3週後の三菱電機レディスでも優勝を飾った。
20年の稲見や21年の渋野がそうだったように、スタンレーレディスは勢いづくきっかけになる大会と言えるかもしれない。
稲見は、スタンレーレディスで20-21年シーズンの強さを取り戻すきっかけをつかみたい。
今季は河本結の復活優勝など、黄金世代の活躍が目立っている。また、プラチナ世代の安田祐香が初優勝をあげ、これから上位争いが増えそうな雰囲気が漂ってきている。
次は、黄金世代とプラチナ世代に挟まれた、はざま世代の番である。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。