11日に東京競馬場で行われる第30回NHKマイルC(GI、芝1600m)には、昨年の朝日杯FSを優勝したアドマイヤズーム、前走でその朝日杯馬を相手に見事な差し切り勝ちを収めたイミグラントソング、皐月賞6着から参戦するマジックサンズらが出走予定。
ここでは血統+ペースによる「独自の血統ペース理論」から注目馬を導き出す。
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目次
■レースを支配するのはティラトーレ
今年の登録メンバーを見ると、この世代のマイル路線の重賞勝ち馬やトライアル組が揃って登録しており、昨年のような桜花賞や皐月賞の3着以内馬の存在は無いが、賑やかなNHKマイルCとなりそうである。このレースは、父ダイワメジャー産駒もしくは父キンカメ系産駒、少なくともどちらかは毎年3着以内に好走することで知られているが、今年のメンバーは、父ダイワメジャー産駒は不在、そして父キンカメ系産駒も2頭しかおらず、新しい血の台頭があるのかも気になるところである。
想定逃げ馬:ティラトーレ
父:リアルスティール
母父:ルーラーシップ
形相遺伝対象:エアデジャヴー(母母)
同馬が逃げて作り出す血統ペース:
形相遺伝対象からNorthern Dancer系統のペース
今年のメンバーの出走可能圏内を診ると、先行型はいるが、逃げ徹底型が不在のメンバー構成であり、想定逃げ馬を設定するのが難しいが、ハイペースとなったフェアリーSにおいて、ペースが速いのが分かっていながら積極先行で2着好走のティラトーレが逃げると診る。
ティラトーレという馬は、所謂エア一族とも云われる牝系の出身だが、今年に入って既に4走しており、今回はフローラSから中1週のタフなローテとなる。形相遺伝対象のエアデジャヴーもデビューから6戦目で桜花賞参戦し3着好走しているが、これは平成初めの時代であり、当時は普通の使われ方であるが、令和の今では少数派のローテであり、ティラトーレはこれを踏襲しているように見える。
■血統ペース適合“良好”の一頭
レースを支配する血統ペースを求めたところで、次に、血統ペースの観点から現時点の注目馬を一頭取り上げてみたい。混戦模様の中で、ファルコンSの2着馬モンドデラモーレを少々考察してみたい。
モンドデラモーレ
父:ワールドエース
母:ヒカルアモーレ
母父:クロフネ
・形相遺伝対象:ヒカルアモーレ(母)
・形相遺伝対象の血統ペース:Northern Dancer系統
・血統ペース適合判定:Bランク(良好)
前走のファルコンSは痛恨の大外枠18番に入ったが、外々を通りながら好位付けで運び、最後の直線も好位から力強い粘りを見せて2着好走している。初の1400m戦の起用には血統面から診て疑問があったが、大外枠だったにも拘らず、人間側の疑問起用を馬の力でカバーした走りと診る。
本馬の形相遺伝対象のヒカルアモーレは、現役時代2勝に終わったが、3歳春には忘れな草賞3着がある。更にこのヒカルアモーレの遺伝背景を診ると、母母グレイトフィーヴァーからSimply Greatへ辿る遺伝背景を持つことから、本来は中~中長距離に適性を持つ欧州タイプであるが、父クロフネということで、米国積極前進型の走行ベクトルの加工処理を受けたタイプである。
本馬は、このような遺伝背景を持つことから、本質的には今回のマイルに限らず、中距離も対応可能なタイプであり、1800m戦でデビューしたことは血統背景に基づいた起用と云えるが、前走1400m戦に出走したことは、血統背景に逆らった起用と云える。この観点からは、今回1Fでも距離が延びることは良いと診る。
本馬のこれまでの戦績4戦の中で、私が興味を持って見たのは、2走前のジュニアCである。このレースは4か月ぶりの実戦で、成長過程期ということもあって大幅馬体重増で臨んだ一戦だったが、勝ち馬に迫る2着と好走、その勝ち馬ファンダムと本馬は、母が姉妹という従兄弟関係にある。
このような親族関係にある2頭が、3歳の初めに同一レースでワンツーを決めるというのは、有りそうでなかなか無い珍事であり、ファンダムはその直後に毎日杯勝利で3戦全勝、無敗でダービー参戦が予定されており、本馬はファルコンSで2着と、共に重賞で活躍する存在となっている。
昨年の3歳世代では、父が同じスワーヴリチャード、そして母が全姉妹という、同年齢でまるで双子のようなレガレイラとアーバンシックの関係性は話題となったが、3度も同一レース出走が実現するも不発、しかし、共に秋にはGI勝利を挙げ大活躍している。
このレースは、クロフネやフレンチデピュティの血が活躍することで知られるが、本馬は母父にクロフネの血を内包、今回の血統ペース適合も良好であることから、従兄弟ファンダムへ吉報を届けるような走りを期待したい。
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著者プロフィール
MASA
平成の初め、中島国治氏の血統理論と出会い、大いに感銘し影響を受ける。この中島理論をレース予想にどのように結びつけるかを研究し続けた末に、逃げ馬が自身の血統構成から作り出す「血統的なペース・流れ」がレースを支配するという「血統ペース理論」を開発、現在競馬予想家として、中島理論の継承努力を続けている。