ラグビーレジェンドたちが語るジャパンラグビーの戦い 「すべてが模範になる」

ローレウス・ラグビーレジェンド・スペシャルトークショーが10月29日、東京・六本木のMercedes me東京で開催された。

この日の登壇者は、ラグビー元ニュージーランド代表主将のショーン・フィッツパトリックさん、ラグビー元南アフリカ代表のブライアン・ハバナさん、そして4日後にラグビー・ワールドカップ決勝を控えた南アフリカ代表のシャルク・ブリッツ選手等だった。

ジャパンラグビーの「ワンチーム」 ネルソン・マンデラの言葉

父のブライアン・フィッツパトリックさんもオールブラックス(ニュージーランド代表)だったフィッツパトリックさんは1986年に代表入りすると、1992年から現役引退する1997年まで主将をつとめた。代表選手として国際試合に出場した回数は92キャップで、当時としては最多回数を誇った。

現在は英国BBC放送の解説者として活動し、ローレウス・ワールド・スポーツ・アカデミーのチェアマンをつとめる。同アカデミーは「スポーツ界のアカデミー賞」とも言われるローレウス世界スポーツ賞を選考するとともに、スポーツを通じた社会貢献活動を推進している団体だ。

ラグビー元ニュージーランド主将のショーン・フィッツパトリックさん 撮影=山口和幸

ハバナさんは南アフリカのラグビー代表チーム、通称スプリングボクスの元ウイング。2007年の第6回ワールドカップ・フランス大会では大会最多の合計8トライを挙げて、南アフリカのワールドカップ2回目の優勝に貢献している。

1995年の第3回ワールドカップ・南アフリカ大会。自国開催で初の決勝進出を決めた南アフリカ。対戦相手はオールブラックス6番のジャージを着たフィッツパトリック主将を擁するニュージーランド代表で、1987年の第1回大会王者である。

そして、大観衆で埋まったスタジアムの一席に、当時12歳だったハバナさんがいた。ラグビーはまだやったことがなかったという。

ラグビー元南アフリカ代表のブライアン・ハバナさん 撮影=山口和幸

キックオフ前にタッチライン際に姿を見せたのが、人種差別政策『アパルトヘイト』に反対したマンデラ大統領。両チームのすべての選手と握手を交わしていくうちに、スタンドから「マンデラ!マンデラ!」の大声援が送られた。

そして大統領は大観衆に向かって「ワンチーム・ワンカントリー」と団結を呼びかけた。マンデラ大統領のこの言葉は、ジャパンラグビーが掲げる「ワンチーム」を連想させる。

激闘は80分間で決着がつかず、延長戦の末に南アフリカが15対12で勝利。フィッツパトリックさんは当時をこう回想する。

「あともう少しで栄冠をつかめたのだから悔しい思いはあった。試合後のバスから見た光景はいまでも忘れない。黒人も白人も抱き合って一緒に躍っていた。スポーツがすべての人をひとつにするんだと感じた

12歳だったハバナさんはこのときラグビー選手になる決意を固めた。

「勝利の瞬間にすべてのものごとが変わった。それだけインスピレーションを与えるできごとだった。スポーツの力はすごい。観客席に座っていて、みんな平等だと感じたいつかボクも勝利の瞬間を味わえる日がくるかもしれないと思った」

ラグビー界のレジェンドたちが語る“ジャパンラグビー”

ローレウス ラグビーレジェンド スペシャルトークショー 撮影=山口和幸

トークショーの後半では、今回の日本チームの快挙を高く評価するコメントが続いた。

「今大会で際立ったのは日本選手のプレーだ。すべてがラグビーユニオンの模範となる。選手としての素晴らしさ、チームとしての気持ちよさ、そしてプレイヤーとしてのリスペクト。1995年のワールドカップでオールブラックスは日本に128点差をつけて勝っているけど、もうあなどれない。日本の8強に心からおめでとうと言いたい」(フィッツパトリックさん)

南アフリカ代表フッカーのブリッツ選手も、「日本の強さは本物だよ」と強調した。

「これまで日本に来たことはなかったけど、みんながワールドカップを支えてくれた。練習なのに応援してくれて、南アフリカ国歌も覚えてくれた。ボクたちの存在を常に尊重してくれる。国民がサポートしてくれて本当にびっくりし、素晴らしいと感じた」

そしてハバナさんは、日本の戦いが多くの人々に共感を与えたと話した。

「4年前に南アフリカを倒したことを番狂わせと言われるが、日本のほうが強かったことは疑いようがない。あのときの試合は2000万人が見た。そして今回のブレイブ・ブロッサムズの快進撃を6000万人が応援した(テレビ視聴率からの推測数)。フェアプレー精神が見る人に共感を与えたのだと思う」

≪山口和幸≫

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