今週は夏の名物直線重賞、第26回アイビスサマーダッシュ(GIII、芝1000m)が新潟競馬場で行われる。
今年は、昨年の当レース覇者ピューロマジックをはじめ、同2着テイエムスパーダ、同3着ウイングレイテストと上位3頭の重賞ウイナーが揃い踏み。加えて、春の韋駄天Sを制した直線巧者エコロレジーナや、昨年のBCスプリント4着アメリカンステージ、一昨年の京阪杯を制したビッグシーザーなど快速自慢が集結。当日の枠順も考慮した馬券戦略が必要だ。
そんな中、連覇を狙うピューロマジックが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■前年からの乗り替わりはマイナス
昨年は初めての直線競馬で、53秒7とレコードタイの好タイムでアイビスSDを制したピューロマジック。その後はBCターフスプリントに挑戦するも世界の壁は厚く、今春はオーシャンS、高松宮記念と2ケタ着順が続いたが、前走の函館SSでは鮮やかな逃げ切り勝ちを決め、4度目の重賞制覇。今回のメンバーでは抜けた実績で、ディフェンディングチャンピオンとして負けられない一戦となるだろう。
とはいえ、昨年は鞍上ルメールの好騎乗に導かれたもの。不利な内めの6番枠で、後方から徐々にポジションを上げ、ラスト1Fで前の馬を一気に抜き去り、上がり3F31秒3という極限の末脚を引き出した。元来は芝1200mで逃げ切る戦法を得意とする馬。今年はどのようなレース運びをするか、ふたを開けてみなければ分からないが、昨年と同様の戦略がハマるとは限らない。
鞍上が松山に変わる点も決してプラスとは言えない。新潟に参戦する機会の少ない同騎手だが、直線競馬はデビュー以来わずか3勝のみで、勝率は7.1%。回収率も単勝30%、複勝45%と旨味は少なく、1番人気では【0.2.0.2】の成績なら、頭から積極的には狙いたくない。それに比べて、エコロレジーナに騎乗する菊沢は、勝率10.9%、単勝回収率149%で、直線巧者ぶりが窺える。鞍上の巧拙も重要なファクターだろう。
■昨年55キロから斤量増も不安材料
牝馬が有利な傾向にあるアイビスSDであるが、ピューロマジックは函館SSを勝ったことで、別定56キロを背負うことになる点もマイナス材料。過去25回の歴史の中で、56キロ以上の牝馬の成績は【0.1.1.6】で勝った例はない。昨年連覇を狙ったモズメイメイや、2010年に3連覇を目指したカノヤザクラなど、斤量を背負ったことで馬券圏外に敗れた例があり、1キロ増がボディーブローのように効いてくる。
そして、サマースプリントシリーズが始まった06年以降、第1戦の函館SS、23年まで第2戦だったCBC賞(24年から北九州記念)、そのどちらかを制した馬が、アイビスSDを連勝した例はない。そもそも、両レースの勝ち馬がアイビスSDに参戦する機会は少ないが、13年パドトロワ(函館SS1着→アイビスSD10着)、19年カイザーメランジェ(函館SS1着→アイビスSD7着)、20年ラブカンプー(CBC賞1着→アイビスSD10着)と、ことごとく敗れている。むしろ、函館SSやCBC賞で敗戦した馬が、アイビスSDで好結果を残す傾向にあり、ローテの面でも決してプラスとは言えない。
過去にアイビスSDで、連覇を果たしたカノヤザクラやベルカント、隔年で2勝したカルストンライトオやオールアットワンスは、すべて前走で敗戦し、余力を残した状態でアイビスSDに臨んでいた。今年のピューロマジックは、前走で目一杯のレースをした後での参戦で、上がり目という点で果たしてどこまで上積みがあるだろうか。加えて、鞍上乗り替わりや斤量、ローテ面など不安材料が多く、人気ほどの妙味はないと考え、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。














