「卓球で自分はどうなりたいのか」張本美和が“殻を破る1年”で示した覚悟 日本大会で戴冠の18歳が向かう新たな領域【WTTチャンピオンズ横浜2026】

「卓球で自分はどうなりたいのか」張本美和が“殻を破る1年”で示した覚悟 日本大会で戴冠の18歳が向かう新たな領域【WTTチャンピオンズ横浜2026】
張本美和(C)WTT

卓球の国際大会「WTTチャンピオンズ横浜2026」は9日、神奈川県の横浜BUNTAIで女子シングルスの決勝が行われ、世界ランキング3位の張本美和(木下グループ)は同5位の陳幸同(中国)と対戦。ゲームカウント4-2で勝利し、優勝を飾った。

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■恐怖を乗り越えてたどり着いた頂点

昨年に続く2度目の開催となったWTTチャンピオンズ横浜で、第1シードとして名を連ねた張本。昨年は早田ひな(日本生命)に敗れ2回戦で姿を消した18歳は、「必ず来年は1試合でも多く皆さんの前でプレーしたい」と目標を定めて日本大会を迎えた。

そんな中、1回戦の橋本帆乃香(デンソー)戦を皮切りに、2回戦の陳熠(中国)、準々決勝の申裕斌(韓国)、準決勝の王芸迪(中国)と、世界屈指の強豪が集うトーナメントを勝ち上がる中で、次々と困難に直面した。

「気分が落ちてしまった」、「もう終わったと思った」、「何回やってもやりたくない」、「どうやって戦えばいいのか」。

今大会を通して張本自身の口からこぼれたのは、瞬間瞬間でよぎる“敗北”の2文字と戦い続ける、世界トップで戦う18歳の偽らざる感情だった。それでも、一つひとつの壁を乗り越え、逞しさを増した張本は最終日の決勝のコートにたどり着いた。

昨年大会を制した陳幸同との決勝では、「1試合を通して集中を保ったまま試合ができた」と振り返った。安定した両ハンドからのクロスとストレート、逆チキータを効果的に織り交ぜるレシーブ、要所で決まるサービス。すべての要素を高次元で発揮し、経験豊富な中国選手を上回った。

■“安定”から自分と向き合う2026年へ

2026年は国内で史上初の全日本選手権4冠を成し遂げ、国際大会でも3月の「WTTチャンピオンズ重慶」を初制覇。5月の世界選手権団体戦決勝では世界ランキング2位の王曼昱に初勝利を飾り、今回の横浜大会でもタイトルを獲得した。

結果を残し続ける張本を支えるのが、卓球選手として自分自身の内面と向き合う姿だ。

「2025年はなかなか卓球に対して深く考えたり、自分自身を見つめることに、それほど時間を充てられていなかったと、1年を通して感じました。なので2026年は、もっと自分の課題に向き合ったり、『卓球で自分はどうなりたいのか』ということを考えながらスタートした1年でした」

今年の正月、地元・仙台に帰省した際に「SNSに思ったことを書いてみよう」とメモをつづったという張本。そこで自然と出てきたのが、自分自身に矢印を向けた言葉だった。

全日本選手権を制した後に投稿されたインスタグラムでも、自らの姿勢を見つめ直したからこその覚悟が示されていた。

「これまでは『毎日頑張ればいい』『結果が出なくても全力を出せればいい』と、どこかで自分に甘え、限界を決めていたのかもしれません。しかし、それは本当の意味で頑張っていることにはならないと気づきました」

■“殻を破る1年”で踏み込んだ新たな領域

“殻を破る1年”と自分に課して始まった張本の2026年は、新たな次元に入りつつある。

世界ランキングは目標としていたトップ5を上回り、孫穎莎、王曼昱という中国トップ2に続く3位に位置する。さらに、重慶でのチャンピオンズ初制覇に加え、今回は地元開催のプレッシャーも背負いながら横浜大会のタイトルまで獲り切った。

2028年のロサンゼルス五輪に向けては、同年1月3日に発表される世界ランキングの上位者2名にシングルスの出場資格が与えられることが発表されている。

パリ五輪では伊藤美誠(スターツ)との争いを制し、団体戦に向けた3人目のメンバーに逆転選出された張本。次の五輪サイクルでは、今度はシングルス代表の座を自らつかみにいく中心の立場で戦っていくことになる。

横浜でのチャンピオンズを終えた張本は、スウェーデン・マルメで行われる「ヨーロッパ・スマッシュ」にも出場する。自身がまだ手にしていないグランドスマッシュや、年間王者を決めるWTTファイナルズでの初優勝も見据える。

不安や恐怖と向き合いながら、最後は自らの力でタイトルをつかんだ横浜大会を終えてまた次の戦いが幕を開ける。新たな領域へ踏み出した18歳は、一つひとつ階段を上りながら、さらに高い景色を見据えている。

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