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【NPB】リーグ制覇のチャンス到来も…… 苦しむロッテにファンの熱き思いは届くのか!?

 

【NPB】リーグ制覇のチャンス到来も…… 苦しむロッテにファンの熱き思いは届くのか!?

15年ぶりリーグ制覇のチャンス到来で“地元愛”復活

9年前にロッテが本拠地を置く海浜幕張に越してきた当時は、地元にプロ野球チームのフランチャイズがあることがうれしくてたびたび球場に足を運んだ。なにしろ自転車で5分、花火の音が自宅から聞こえる距離である。地元愛が芽生て当然だ。

しかし、ここ2、3年は足が遠のいていた。理由は、やはり成績。2017年に最下位に沈んでから、3年連続のBクラス。情けないミスや定着しないメンバーに、応援する気力を失ってしまった。不甲斐ない戦いを容認するほど、愛は強くなかったということか。

ところが、今年は違った。7月、8月をうまく乗り切ると、2位をキープ。9月3日から同14日にかけて9勝1敗と大きく勝ち越し、首位ソフトバンクに肉薄した。同30日には、ついにゲーム差なしにまで追い詰めたのだ。これは一大事だ! もしかしたら、15年ぶりのリーグ制覇が実現するかもしれない。しかも、次のチャンスはいつ訪れるかわからない。久しぶりに、スタジアムで応援したくなった。

2020年のプロ野球を面白くしたのはロッテ

試合日程を見ると、うまい具合にソフトバンクとの直接対決が多く残っている。今年はソフトバンクに対して相性がいい。最大限に妄想を膨らませ、10月27日からの首位攻防3連戦で“下克上”を果たすと踏んだ。そして11月3日、本拠地ZOZOマリンスタジアムでのソフトバンク戦で胴上げだ! 感動の優勝をマリンで目撃するぞ!

振り返れば、今年のプロ野球は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れたうえ、交流戦やオールスターゲームはことごとく中止。シリーズ途中までは無観客開催と、多大なダメージを受けた。しかも、セ・リーグは巨人が早々と独走体制に入り、優勝争いの興味は消えてしまった。

実際のところ、今年のプロ野球を支えたのは、ロッテの頑張りといってもいいだろう。これでパ・リーグもソフトバンクの圧勝だったら、味気ないシーズンになっていたはずだ。ロッテあっての2020年シーズン。その意味でも、逆転優勝に向けて一層のエールをおくりたい気持ちだった。

勝負どころで2勝10敗、連夜のサヨナラ負けも……

ところがどっこい、期待を込めた妄想通りとはならなかった。10月4日に岩下大輝投手とチームスタッフ1名の新型コロナウイルス感染が発表されると、6日には8選手を含む13名の感染が明らかに。

結果として22人の選手を入れ替える緊急事態となったロッテ。期待の若手である藤原恭大外野手や、茶谷健太、福田光輝両内野手らが1軍に合流し積極的に起用されたが、明らかな戦力ダウンは否めなかった。

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なんとか10月17日の離脱者復帰までを4勝5敗でしのいだが、試練が訪れたのは皮肉にもその直後だった。10月18日から31日まで悪夢の2勝10敗。10月20、21日は2試合連続でサヨナラ負けを喫した。

さらに10月29日のソフトバンク戦では1点リードの9回に登板した抑えのエース・益田直也投手が、一死二、三塁からまさかの暴投。田村龍弘捕手がボールを見失う間に二塁走者も生還し逆転サヨナラ負けという、高校野球でもありえない屈辱的な敗戦となった。なお、この日は奇しくも私が首位奪回を予言したXデーだった。

3日の試合も序盤はリードを広げるも…

11月3日、ZOZOマリンスタジアム。晴れの予報だったが、どんよりとした曇り空。すでにソフトバンクの優勝が決まり、2週間前に6ゲームあった3位西武との差が1ゲーム差になっている。なんとしても2位を確保し、クライマックスシリーズ(CS)出場を願うのみだ。

だが、それにしてもロッテの打線は貧弱だ。中軸を任されていた井上晴哉内野手、安田尚憲内野手ともに打率は2割台前半であり、これで2位にいるのが不思議なくらいだ。なおこの日の試合では、井上、安田の打順はそれぞれ6番、7番に下がっていた。

初回、“新4番”の清田育宏外野手がバンデンハークから2ランホームランを放ち先制。マスクの中で(ヨッシャー!)と叫ぶ。4回には藤岡裕大内野手がレフトスタンド最前列に放り込んで3点差とリードを広げる。もう一度、(ヨッシャー!)。

先発した石川歩投手は5回を危なげなく零封。石川がもう1イニングを無難に抑えれば、唐川侑己投手、澤村拓一投手、そして益田というリリーフ陣が控えている。ムクムクと大きくなる勝利の予感。スタンドも静かに盛り上がっている。久々に球場に来た甲斐があったというものだ。ヨシヨシ!

ついに西武と同率2位、なんとしてでも勝ってくれ!

しか~し、現実は厳しい……。石川が突如つかまって同点とされると、唐川を早めに投入。いい采配かと思ったが、四球とヒットであっという間に勝ち越されてしまった。ロッテ打線は5回以降わずか1安打と奮わず、結局3-4でゲームセット。

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CS出場を争うライバルの西武は日本ハムに逆転勝ち。ついに同率2位で並ばれてしまった。

ロッテの残り試合は5試合。すべて本拠地、ZOZOマリンスタジアムで戦う。なんでもいい、とにかく2位を死守してCSにいってくれ!

著者プロフィール
<文:牧野森太郎 フリーライター>
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」(産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。

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