労使交渉が決裂し、今季の開幕が延期となったメジャーリーグ。今後の交渉については、舞台をフロリダ州ジュピターからニューヨークに移して行われる予定だが、合意の見込みは立っていない。
歩み寄りに消極的な機構側に対し、選手たちからは怒りの声が上がっている。
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■選手会「うんざりしているが驚きはない」
記者会見に臨んだロブ・マンフレッド・コミッショナーは「両サイド(MLB機構側と選手会)ともに労使協定を締結させる努力をしたが、かなわなかった。我々は交渉のデッドラインを迎え、最高のオファーを選手会に提示したが、行き詰まりの状態となった。我々が一番懸念していることは、ファンの気持ちだ。我々は意見をまとめ直し、今後の方針を決めたい」と話したが、選手やファン、メディアからは非難が殺到した。
まず、コミッショナー声明を受けて選手会は「ロブ・マンフレッドとMLBのオーナーは、開幕を取りやめた。野球を愛する世界中の選手とファンは、うんざりはしているが、悲しいかな驚いてはいない。ロブ・マンフレッドが“ディフェンシブ・ロックアウト”と呼んだものは、実際にはオーナーたちが選手たちの友愛を壊そうとする数十年にわたる試みの集大成であり、過去と同様にこの努力は失敗に終わるだろう」と、コミッショナーとオーナー側の姿勢を批判した。
また、コミッショナーが笑顔で会見に臨んだことにも怒りの声が溢れた。大谷翔平の同僚、ロサンゼルス・エンゼルスのマイケル・ローレンゼン投手は「どうして今、笑うことができるのか全く理解できない。頭がおかしくなりそうだ」とツイート。シカゴ・カブスのマーカス・ストローマン投手も「マンフレッドは去らなければならない。新しいコミッショナーが早急に必要だ」と投稿した。
そのほか、交渉の期限を機構側が一方的に設定したことに対しても不満の声が上がった。サンフランシスコ・ジャイアンツのオースティン・スレーター外野手は、サンフランシスコ・クロニクルの取材に対して、2020年コロナ禍でのシーズンを念頭に「3週間あれば備えることができた。試合を中止にする必要はない」とし、あえてデッドラインを設定した理由については「機構側が我々の喉に契約を押し込むことができるかどうか確認するための手段だろう」と看破した。
選手会が「収益が伸び、過去最高益を達成した今、私たちが求めているのは公正な合意以外の何ものでもありません」と声明で述べたように、MLBの総収入が増加傾向にあるのに対し、選手の平均年俸は減少しているのが実情。選手側が待遇改善を求めるのも当然で、マンフレッドコミッショナーは不誠実な態度を改め、もう一度選手会と真摯に向き合うことが必要だろう。
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文・SPREAD編集部