■日本のエンターテイメント・コンテンツを世界へ発信
藤井さんはその将来像について「ソニーさんは会社全体の売上が10兆円近くありますが、そのうち約10%音楽エンターテイメント関連の売上になります。さらに、国内の売上は3分の1、3分の2が海外の売上なんです。つまり日本の企業でありながら、グローバル・マーケットでの成功があってこその数字になります。我々としても日本を代表する企業として、世界で収益を生み出せる会社にして行きたいと夢を持っています」と大きな夢を語ってくれた。
日本は現在でこそ1億2,000万人という内需を抱えているが、今後ドラスティックに人口が減少期を迎える。昨年の出生人口はついに80万余人。これはわれわれ昭和40年男と比較するとほぼ半分。日本の子どもはかつての半数となる。もちろん、日本の人口もいずれは6000万人程度が見込まれ、移民政策のテコ入れなく、新生児の減少が続けば、これを割り込む。韓国ぐらいのサイズの内需となるのは必至だ。
藤井さんは「日本を代表する企業としてグルーバルを目指すのは必要不可欠だと考えますし、そうした時代を作り上げていかなければ、次の世代にバトンタッチできないと考えています」と固い意志を淡々と語った。もちろん、口にするのは簡単だろう。だが藤井さんは、その手法について次のような具体的ビジョンを持っている。
「個人的な思いとしては、PPVというモデルを上手に利用し、日本のエンターテイメント・コンテンツをアジア展開を皮切りに世界へ発信していきたいです。コンテンツとしては、格闘技、音楽、アニメでしょうか。日本の人口はわずか1億ですが中国を除いてもアジアには10億人、そして日本と異なり、まだまだ若年層が多い。そこにこれまでのマーケティング・ノウハウを駆使し、乗り出して行きたいという思いがあります」。

未来のビジョンを語る際は、笑顔が絶えない 撮影:SPREAD編集部
藤井さんは2014年にデビューした韓国の7人組ヒップホップ・グループBTSに着目している。「実際にアメリカのビルボードのTOPを獲得したわけですから、その実績には目を瞠るものがあります。世界を席捲している。しかし、それまでの過程では地道にアジア・ツアーを敢行し、それぞれの国にファンを作り出し、下地を作ってからの全米デビューという事例がありました。BTSの成功もみなアジアの人々の後押しがあったからです。さらにBTSは今の時代に即したマーケティング戦略を実施、SNSやYouTubeの活用がすごくうまかった。そして、弊社はそうしたSNSを含めインターネットを活用したマーケティングは得意分野です。日本のキャラクター・コンテンツホルダー、興行主と組んで世界に出て行くのは、お互いにメリットとなり、相乗効果を生むと考えています」とその手法は日本のコンテンツでも展開可能という論を展開する。
さらにアジアだけではなく「BTSのような前例があるわけですから、その向こうにはアメリカ市場も可能かもしれません」とこれまで日本のコンテンツがなかなか果たせずに来たアメリカ制覇に乗り出す意向も明かした。
サイバーエージェントの、ABEMAの売上3分の2が海外マーケットで獲得できるようになった暁には、日本の未来は確実に明るく変わる……そんな気分にさせるABEMAの仕掛け人の構想だった。
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著者プロフィール
松永裕司●Stats Perform Vice President
NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoftと毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist。










