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【ボクシング】伝説の最強決戦最終章、“カネロ”アルバレス対ゴロフキンはテクニック合戦で終止符

【ボクシング】伝説の最強決戦最終章、“カネロ”アルバレス対ゴロフキンはテクニック合戦で終止符
ゴロフキン(写真左)相手に判定勝ちを収めたアルバレス(C)Getty Images

最強を決める一戦だった。

サウル・カネロ・アルバレスメキシコ)対ゲンナジー・ゴロフキンカザフスタン)の第3戦が17日(日本時間18日)、カネロが持つ世界スーパーミドル級4本のベルトをかけ、ラスベガスのTモバイルアリーナで行われた。

過去、カネロの1勝1分ながら、専門家の間では2戦ともゴロフキンが勝っていたといわれる僅差の判定だった。しかし、ラバーマッチの結果は、またしてもカネロの判定勝ち。今回は、1人が116-112、あとの2人が115-113とはっきりと差がついた。

◆【実際の映像】伝説の最強決戦最終章、“カネロ”アルバレス対ゴロフキン

■強烈パンチでカネロが主導権を奪う

試合前の両者の戦績は、カネロが60戦57勝(39KO)2敗1分、ゴロフキンが44戦42勝(37KO)1敗1分。両者合わせて76KOというKOアーティスト同士の一戦。また、メキシコとカザフスタンの英雄同士の一戦でもあった。ファンが豪快な打ち合い、願わくばKO決着を期待するのは当然だろう。しかし、試合は3戦のなかでもっとも静かなテクニック合戦となった。

初回は、ジャブの突き合いでスタート。カネロはときおり、スイング・パンチを見せるがヒットはしない。ジャブを的確にヒットしたゴロフキンがわずかにリード。

2回から9回までは、パンチの迫力で勝るカネロのラウンドだった。5回には右のフックがクリーンヒット、7回にはアッパーでゴロフキンがのけぞるシーンがあった。ゴロフキンはジャブで対抗するが、パンチが軽い印象。やはり、1階級上げたことが影響しているようだ。

■素晴らしいテクニック合戦を満喫

8回、ポイントで劣勢のゴロフキンが反撃に出る。ここまでほとんど見られなかった、独特な角度の“ゴロフキン・フック”がようやく出た。9回にはカネロをロープに押し込んでプレッシャーを強めるシーンも。

10回以降は一進一退の攻防となり、最終回はカネロ優勢で試合終了のゴングを聞いた。私自身の採点は116-112。カネロの明確な判定勝ちだった。

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期待した派手な打ち合いはなかったが、両者のテクニックを満喫できた試合だった。特に、ボディワーク、ブロック、パーリングを組み合わせるカネロのディフェンスは見応えがあった。この選手を攻略するのは難しいだろう。

■カネロはビボルとの再戦を表明、ゴロフキンは現役続行

試合前は激しく罵り合った2人だが、ゴロフキンは敗戦を認め、カネロは「勝ててよかった。メキシコのファン、そしてゴロフキン、ありがとう」とクリーンなコメントを残した。3度戦った頂上決戦は、これで決着がついたと考えていいだろう。

また、カネロは試合中に左手を傷めていたことを明かした。手術が必要なほどのケガだという。8ラウンド以降の失速は、このケガの影響だったようだ。

驚いたのは、カネロがライトヘビー級チャンピオン、ドミトリー・ビボル(ロシア)との再戦を表明したこと。5月の試合は、決定的な体格差に屈した惨敗だった。プライドが高い王者らしい発言だが、はたして勝算があるのだろうか。もうライバルがいないスーパーミドル級4本のベルトを防衛しても、「つまらない」ということだろうか。11度防衛している安定王者ビボルを倒して“最強”を証明するか。カネロの挑戦に期待したい。

なお、敗れたら引退か、と囁かれていたゴロフキンは現役続行を宣言した。今後はミドル級に戻って、WBA、IBFのベルトを防衛しながら、4団体統一を目指す。カザフスタンの英雄のチャレンジも楽しみだ。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。