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【ボクシング】フェザー級日本王者“天才”阿部麗也が初防衛 世界挑戦への足がかりをつかむか

【ボクシング】フェザー級日本王者“天才”阿部麗也が初防衛 世界挑戦への足がかりをつかむか
フェザー級日本王者、防衛に成功しリング上で安堵の表情を浮かべる阿部麗也 撮影:牧野森太郎

日本フェザー級WBOアジアパシフィックチャンピオン阿部麗也(KG大和)に全勝のチャレンジャー、前田稔輝(グリーンツダ)が挑む注目のタイトルマッチが3日、後楽園ホールで行われ、試合直前にSPREADのインタビューに応じた阿部が判定で初防衛を果たした。激戦から一夜明けたチャンピオンのコメントを交えながら、試合を振り返る。

◆フェザー級日本王者“天才”阿部麗也 「世界に繋がる試合をしたい」と防衛戦に挑む

■挑戦者側にも大阪からサポーターが詰めかけた

現在、IBF世界ランキング5位の阿部は、この試合に勝てば世界タイトルの挑戦者決定戦に進むプランがある。良い勝ち方をしてアピールしたい大切な一戦だ。赤コーナー側にはチャンピオンのサポーターが、背中に「天才」と書かれたTシャツを着て多数、陣取る。しかし、青コーナー側も大阪から多くの応援団がつめかけ声援を送る。10戦10勝(5KO)の挑戦者にかかる期待の高さがうかがえる。

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挑戦者、チャンピオンの順にリングに登場。2019年に日本フェザー級新人王に輝いた前田は26歳、8月にはフィリピンの選手を2ラウンドKOで倒して勢いに乗る。敵地に乗り込むプレッシャーをうまく戦闘意欲に転換できたのか、いい面構えだ。

■序盤のペースの取り合いで一歩リード

試合開始のゴングが鳴る。サウスポーの両者がパンチの当たる距離で対峙、緊張感が高まる。どちらがジャブの差し合いからペースを掴み、得意の左ストレートを当てるかが序盤の見どころだ。ほぼ互角ながら、ジャブを多く当てたチャンピオンのラウンド。

前田選手は、試合前に考えていたイメージと違いはなかったですね。こちらのジャブのほうが当たっていたし、相手のパンチにあまり怖さも感じなかったです」(阿部)。

2ラウンド以降もジャブと、ジャブのタイミングで出す右フックがよく当たってポイントは阿部。しかし、強い左ストレートを打ち込むことは、なかなかできない。

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相手が打ち終わりを狙っているのが分かったんで、警戒したところはありましたね」(阿部)。

日本王者・阿部の右が挑戦者を捉えた瞬間 (C) ISAO KAMACHI

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■まぶたのカットで、攻撃の圧力が弱まる

緊張感のあるテクニック戦が続くなか、5ラウンドに両者の左ストレートが交錯、試合が一気にヒートアップした。さらに一連の接近戦でチャンピオンが側頭部をカット。レフリーは偶然にチャレンジャーの肘が当たったとジェスチャーで示した。

さらに7回、前田の左ストレートでチャンピオンの右まぶたの古傷が開き、流血となった。

これから圧力をかけて左を当てていこうというときだったんで、あのカットが痛かったですね。けっこう出血があったんで迷いが出ました。こちらが打つと、そのタイミングで目を打ってくるんで。そこまでのポイントは取っていると思っていました」(阿部)。

有利に試合を進めているのに、ストップされたのではもったいない。勝負どころの出血が、前に出る圧力を躊躇させることになった。

■判定での初防衛に、リング上で反省の弁

防衛に成功しリングを降りた後もファンから声援を受ける阿部麗也 撮影:牧野森太郎

8ラウンドは白熱した打ち合いで、お互いに最もいいラウンド。その後も一進一退のアウトボクシングとなったが、終盤は逆転勝利を狙う前田がプレッシャーを強めポイントを奪った。採点は明らかにチャンピオンだと思ったが、意外にもドローをつけたジャッジがいて、2ー0のマジョリティ・ディシジョン。阿部が2つのタイトルを初防衛した。

圧勝が期待されていたチャンピオンは、試合後のインタビューで、「今日はいい試合を見せられなくてすみません。来年はどんな試合が決まってもいいように練習して、頑張っていきます」と反省しきりだった。

■2023年は世界タイトル挑戦の足がかりを作る年

一日たった今は、ほっとした気持ちが強いですね。肩の荷が降りました。初めての防衛戦でしたけど、やっぱりチャンピオンは失うものが多いんで、試合が近づくにつれて(経験したことのない)緊張が高まりました」(阿部)。

現在、IBFの世界チャンピオンはジョシュ・ウォーリントン(イギリス)。指名挑戦者と防衛戦を行う予定が組まれている。阿部としても2023年は世界タイトルを狙う足固めの年としたい。

来年、挑戦者決定戦という話になれば、全力で取りにいきます。もし、それがまとまらなければ、チャンピオンカーニバルで佐川遼(三迫)の挑戦を受けます。佐川には一度、負けているんで借りを返したいです」(阿部)。

来年、阿部麗也は30歳。ぜひ、飛躍の年としてほしい。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


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