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■第5位 車いすテニスのレジェンド、国枝慎吾が生涯ゴールデンスラムを達成

男子シングルス・車いすテニスで東京五輪金メダルの国枝慎吾(C)ロイター
ロジャー・フェデラーは日本の記者に「あなたのようなプレーヤーが日本にも生まれるか」と聞かれた際「日本には国枝慎吾がいるじゃないか」と回答した有名な逸話がある。それもそのはず。
グランドスラム男子シングルスでは28回優勝、ダブルスでは22回優勝、パラリンピックでは4度の金メダルを獲得しているレジェンド。11月に開催されたフェデラーの引退セレモニーでも、フェデラーが常に国枝を立てる発言を繰り返すのも非常に印象的だった。
国枝は4大大会のうちにウィンブルドンを制した過去がなく、今年ついにフェデラーのアドバイスにより、その頂点を極め、生涯ゴールデンスラムを達成。またさらなる勲章を加えた。
その国枝も来年には39歳となり、どこまで現役生活を続けるのか、やや不透明。彼のプレーを目にしていないテニス・ファンは、今のうちに目撃することを勧める。
■第4位 佐々木朗希が史上最年少で完全試合達成、あわや2試合連続も…

2022年11月8日、侍ジャパンの一員としてマウンドに上がった佐々木朗希 (C) Getty Images
千葉ロッテ・マリーンズの佐々木朗希が4月10日、オリックス・バファローズ戦でプロ野球史上16度目、16人目の完全試合を達成。1994年に槙原寛己(巨人)が達成して以来28年ぶり。1回2死から5回まで13連続奪三振を奪う快投。計19奪三振に日本タイ記録。20歳5カ月での達成は史上最年少。
翌日も8回完了まで完全と、MLBでも例を見ないあわや2試合連続完全試合だった。
令和の怪物は今年、覚醒のシーズンだった。来年、どのような成長を見せるか、ロッテ・ファンならずとも楽しみだろう。
■第3位 大谷翔平、104年ぶりMLBにて2桁勝利2桁本塁打

15勝目を挙げたエンゼルス・大谷翔平(C)Getty Images
もはや追記の必要はないだろう。また、ランクインに異論を唱える者はなかろう。あるとすれば、むしろ「なぜ3位か」。それは純粋に私がヤクルト・ファンであるから…としておこう。
大谷翔平には来季、MVP論争など巻き起こらぬ絶対的な活躍とポストシーズンでの躍動に期待したい。
■第2位 村上宗隆、史上最年少三冠王に世界の王超えシーズン56号

スポーツ各紙を飾る村上宗隆、日本人最多「56号」と「三冠王」獲得の見出し
正直、2、3、4位については、どれがどこにランクされても異論がないほどの偉業だ。村上宗隆が最上位に位置するのは、私がヤクルト・ファンであるからに過ぎない。22歳最年少三冠王は、今後どこまでその成績を伸ばすのか。世界のホームラン王・王貞治を凌駕した今、「メジャー行き」を宣言しているからには、もはや連続三冠王、シーズン最多となる61本塁打、そしてヤクルトのリーグ3連覇を置き土産として期待する以外にない。
来季もとくと村神様を拝みたいものだ。
■第1位 井上尚弥、ボクシング世界4団体統一王者に輝く
ボクシングも日本では過小評価されているスポーツ・カテゴリーのひとつだろう。五輪で金メダルを獲れば、日本中で知らぬ者ないアスリートとなるが、ボクシングの世界王者の名を知る日本人はそう多くはない。

世界バンタム級4団体統一王者となった井上尚弥 (C) PXB WORLD SPIRITS / フェニックスバトル・パートナーズ
そんな中、日本人として初めて世界4団体の統一王者となった井上尚弥の名を不滅のものと扱うためにも、2022年の1位とした。バンタム級は世界でももっとも選手層の厚いクラスとされる。その証左として、井上以前にバンタム級の統一王者はない。
2004年 バーナード・ホプキンス(ミドル級)
2005年 ジャーメイン・テイラー(ミドル級)
2017年 テレンス・クロフォード(スーパーライト級)
2018年 オレクサンドル・ウシク(クルーザー級)
2020年 ティオフィモ・ロペス (ライト級)*
2021年 ジョス・テイラー(スーパー・ライト級)
2021年 サウル・カネロ・アルバレス(スーパー・ミドル級)
2022年 ジャーメル・チャーロ(スーパー・ウェルター級)
2022年 デビン・ヘイニー(ライト級)
*多くのメディアで認められておらず、井上を9例目とするのが多数
この中で統一戦をすべてKOで成し遂げたのは井上のみ。「モンスター」と恐れられるのは、こうした戦績による。
なお、日本人で次に4団体統一を成し遂げるのは、スーパー・バンタムに階級を上げた井上だともささやかれるだけに、その圧倒的な強さで、さらなる偉業に期待したい。
さて、この10大ニュースを掲載し続け、もはや20年以上となったが、2022年のみなさんの10大スポーツ・ニュースはいかがだったろうか。
電通・高橋治之元専務をめぐる東京五輪汚職問題にも触れたかったが、年末を快く過ごすためにも、ここではランクインを避けた。これについては、またいずれ詳細が明らかになった時点で触れたい。
こうしたスポーツのダークサイドは今は忘れ、今年成し遂げられた数々の偉業を噛み締めながら、2022年のスポーツを個々人で振り返ってもらえれば幸い。
みなさん、よいお年を。
◆バンタム級4団体統一王者・井上尚弥と同じ時代を生きる喜びを噛み締めよう モンスターは次のステージへ
◆村上宗隆の2年連続トリプル・クラウンはあるか… 歴代三冠王たちから読み解く
著者プロフィール
たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー
『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。
MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。
推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。
リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。




















