■有終の美を飾った能見
セレモニーも昔は生え抜きの大物に限られていたが、他球団で何年も過ごした選手にそういう舞台を用意する例もふえてきた。
広島市民球場の公式戦マウンドを最後は踏みたかったに違いない北別府投手に、最近の引退試合をどう思うか聞いてみたいところだが、なにごとにも状況の変化やはやりすたりというものがある。この傾向は続いていくものと思われる。しかし、昨年あたりから引退登板でも打者が三振するとは限らなくなった。
最後まで優勝がかかる場面で、その対戦球団も順位争いをしている場合、やめていく先発投手が許した走者が唯一の失点となってチームが敗戦、優勝を逃す、あるいは「実質」先発する投手のプロ入り初勝利やふたけた勝利やタイトルがかかる、という場面になった場合どうするのだろう、という思いは残る。引退する選手は功労者なのだからその場を用意するべきという配慮も十分わかる。
そういう意味では、オリックス・バファローズ中嶋聡監督の腹のすわりかたには恐れ入った。福岡ソフトバンク・ホークスとの熾烈な優勝争い、一敗もできないシーズン終盤、9月16日に引退を発表した能見篤志を同30日の対千葉ロッテ・マリーンズ戦で引退登板させた。しかも、2-2の8回。能見は見事、安田尚憲を三振に切って取り、有終の美を飾り、現役を退いた。
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著者プロフィール
篠原一郎●順天堂大学スポーツ健康科学部特任教授
1959年生まれ、愛媛県出身。松山東高校(旧制・松山中)および東京大学野球部OB。新卒にて電通入社。東京六大学野球連盟公式記録員、東京大学野球部OB会前幹事長。現在順天堂大学スポーツ健康科学部特任教授。

















