■「HCの言葉一つで今まで以上の力が出せる」
この日、日本代表は前半戦だけでスリーポイントシュートを8本放ちうち6本を沈め、スリーポイント成功率は驚異の75%を記録。試合を通して22得点と勝利に貢献した富永も「チームの雰囲気はすごくよかった。僕は若手の方だが、先輩はすごく話しやすくて、バスケットのこと以外も話せた。コミュニケーションがすごくよかったと思うので、それがチームワークの強さであり、戦っていけた秘訣だと思う」と、振り返った。
そんなチームを、そして各選手をここまで成長させ、最高の雰囲気を作り上げたのは他でもない、ホーバスHCである。キャプテンを務めた富樫勇樹は、「トムさんはすごい。日本バスケに愛があり、チームを作る上で、選手に自信を付けてくれる。女子を銀メダルへ導いた人、言葉に重みがある。一つの言葉で今まで持っている以上の力が出せる」と語った。
パリ出場権を得られなければ代表を引退すると明言していた渡邊も、「勝手に言ったことだが、公に言った手前、引くことはできなかった。今回負けたら本当に最後だと思っていた。無事、まだ代表活動を続けることができそうでホッとしている」と、明るい表情を見せた。
48年ぶりに自力で掴み取った五輪への切符。ここから1年間、さらに成長が求められ、選手たちも五輪の舞台に立つための新たな戦いが始まる。
原修太は、今年4月に取材した際、代表に入りW杯を目指していることを明かしてくれた。そして悲願の舞台に立った。「合宿中は正直、メンバーに残ることで精一杯で世界を見れていなかった。想像もできていなかったが、いざ立ってみるとチームメートも相手も全員が速く動けて体も強くてシュートも入り、クオリティの高さを見せつけられた。この1年でもっともっと自分を追い込まないと、この舞台には帰ってこられない。決してネガティブな意味ではなく、あと1年ある。もっと日本チームに貢献できる選手になりたい」と、課題と収穫があった憧れの舞台を振り返り、来年、パリの舞台に立つという新たな目標へ向け、より一層の意欲を見せていた。
ホーバスHCは「これでパリに行くことができる。まだまだよくなると思う。こうした試合は、自分たちが向上できると証明する機会だ。若いプレーヤーがステップアップして(僕自身)エキサイトしている。この機会にとても感謝しているし、パリが待ち遠しい」とも語っていた。
原の言葉通り、あと1年ある。代表選手はこのあと所属チームへと戻り、10月からBリーグが開幕する。同時にパリを目指す選手たちの新たな成長と挑戦がはじまる。
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■著者プロフィール
木村英里(きむら・えり)
●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長
テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。










