今週は、秋のGIシリーズ開幕戦、第58回スプリンターズS (GI、芝1200m)が中山競馬場で行われる。
今年は、ディフェンディングチャンピオンのママコチャや、高松宮記念覇者マッドクールといったGIホースに加え、セントウルSを制したトウシンマカオ、昨秋にオーストラリアの高額賞金レース、ザ・ゴールデンイーグルを制したオオバンブルマイや、香港からの刺客ビクターザウィナーにムゲンなど、国内外のスプリンターが集結し、激戦が予想される。
そんな中、サマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いたサトノレーヴが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【スプリンターズステークス2024予想/データ攻略】サトノレーヴとママコチャの「買い or 消し」 人気予想2頭で“断然アタマ推し”候補は
Advertisement
目次
■シリーズチャンピオンが大一番で勝てない
スプリント戦線の新星として注目を集める存在となったサトノレーヴ。4月の春雷Sでオープン初勝利を飾ると、夏の北海道でさらに素質を開花させ、函館スプリントS、キーンランドCと重賞を連破し、サマースプリントシリーズの頂点に輝いた。デビュー以来、芝1200mでは6勝2着1回とパーフェクト連対で底を見せておらず、ここまでの通算成績は【7.1.0.1】。超新星が初のGI挑戦でビッグタイトル獲得を目論んでいる。
2006年にサマースプリントシリーズが始まり、そのチャンピオンが同年のスプリンターズSへ出走したのは延べ17頭。その内訳は【1.2.2.12】で、なかなか勝ち馬が現れなかったが、2019年に初めてタワーオブロンドンが勝利を飾った。5頭が馬券圏内に絡んでおり、比較的好成績にも思えるが、その5頭はすべて、スプリンターズSの重要な前哨戦・セントウルSへ出走し、本番を迎えた馬たちだった。
一方、セントウルS不出走でサマースプリントシリーズのチャンピオンとなった馬のスプリンターズSでの成績は【0.0.0.9】と、一度も3着以内に入っておらず、半数近い4頭が2桁着順に敗れるなど、好結果を残せていない。シリーズ唯一のGIIで揉まれた経験のないチャンピオンは、本番で好走できていないのだ。
サトノレーヴの父ロードカナロアは、2012、13年のスプリンターズSで連覇を果たすなど、短距離戦線で栄華を極めた。しかし、その産駒は高松宮記念では【2.0.2.9】と2頭の勝ち馬を輩出している一方、スプリンターズSでは【0.1.1.10】と、いまだに勝ち馬を輩出できていない。国内外GI2勝のダノンスマッシュも、スプリンターズSでは勝ち切れなかった。
中京と中山の芝1200mでの成績を比べてみても、前者は勝率14.4%、連対率22.2%、複勝率30.5%であるのに対し、後者は勝率10.7%、連対率18.6%、複勝率26.6%と、中京に比べて中山のほうが分が悪い。このあたりも、ロードカナロア産駒が、スプリンターズSで勝てない理由なのかもしれない。
今回は、前走で手綱を握ったD.レーン騎手が継続して騎乗できる点は強みで、中山も2戦2勝と舞台適性に問題はなさそう。しかし、ママコチャやマッドクールといったGI馬を押しのけて人気になるのは過剰というもの。セントウルSを使わず、強い相手に揉まれる経験値のなさが、如実に表れるのは必至。馬券的な妙味はないと考え、今回のサトノレーヴは思い切って「消し」でいってみたい。
スプリンターズステークス2024 予想コラム一覧
特集
◆【まとめ】出走予定・枠順、予想オッズetc. 「最速王は新星サトノレーヴか、前年覇者ママコチャか……」お役立ち馬券攻略ガイド
◆【一覧】芸能人・予想家の「スプリンターズS」本命・注目馬予想まとめ 秋のGI開幕戦!好調予想家の本命は?
◆【一覧】「スプリンターズS」大口投票パトロール 前売りからサトノレーヴに“100万円超”連続、単勝8人気前後の伏兵にも高額入る
◆【高配当メソッド】人気サイドが「10回中9回連対」も10人気以下の激走多数 “枠次第”で波乱の可能性
追い切り評価
◆【追い切り診断】打倒サトノレーヴの一角に「S」の最高評価 「筋力パンプアップ」でGI戴冠へ視界良好
◆【追い切り診断】想定10人気以下に高評価「A」 まさに充実一途、“人馬一体”で迫力満点の動き
◆【追い切り診断】スプリント重賞ウイナーに辛口「B」 ぎこちない最終調整に「揉まれ弱さとコンディション懸念」
データ分析・過去10年傾向
◆【枠順傾向】サトノレーヴに「0.1.1.25」の試練 “勝率53.8%”該当で運を味方につけたのは……
◆【データ攻略】連勝狙うトウシンマカオに“馬券内率75%” 「0.0.0.12」の人気一角は消し候補に
◆【データ攻略】サトノレーヴとママコチャの「買い or 消し」 人気予想2頭で“断然アタマ推し”候補は
◆【全頭診断】馬券妙味は「3.0.0.0」合致の5歳馬 “枠次第で押さえるべき”穴候補は
◆【血統展望】中山で狙いたい“ポカホンタスの血” 上位見据える穴馬候補にロックオン
◆【前走ローテ】人気でもセントウルS組は軽視禁物 “5億円ホース”はジンクス打破に挑む
◆【一覧】過去10年の「スプリンターズS」結果・配当・血統まとめ 傾向分析に使えるお役立ちデータ
穴馬予想
◆【穴馬アナライズ】充実一途がコース適性×絶好枠で急浮上 即買いの前日“8人気前後”
◆【穴馬アナライズ】前走大敗で期待値は最大化 人気ガタ落ち想定“10人気前後”の爆穴
◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。