今週は中山競馬場で、第58回スプリンターズS(GI、芝1200m)が行われる。秋のGI戦線開幕を告げる電撃6F戦。今年は2頭の香港馬も参戦し、短距離王者の座をかけた戦いが行われる。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。
◆【スプリンターズステークス2024予想/高配当メソッド】人気サイドが「10回中9回連対」も10人気以下の激走多数 “枠次第”で波乱の可能性
目次
■スプリンターズステークス2024 出走予定馬全頭診断
・ウイングレイテスト
昨年秋以降の国内重賞では【1.3.0.1】。父スクリーンヒーロー、母父サクラユタカオーから受け継がれた晩成の血が騒ぎ出したのか、近走の充実ぶりは高齢を感じさせないものがある。斤量59キロで上位人気想定のサトノレーヴと0秒2差の函館スプリントSを見るより、立ち回りひとつで太刀打ち可能。枠順次第でさらに評価は上がる。
・ウインマーベル
2023年以降の芝1200m成績は【0.0.0.5】。キャリアを重ねるなかで1400m適性が色濃くなっており、スプリントの激流についていけないケースが目立っている。ここも苦戦は免れられないか。
・ヴェントヴォーチェ
昨年の高松宮記念以来、約1年半の休み明けで臨む一戦。週中の予報では雨が降らない馬場想定だったが、一転して現時点の週末天候は雨で道悪濃厚となっている。タフな馬場では精彩を欠くレースが目立つ馬。雨の影響を受ける馬場なら評価は下がる。
・エイシンスポッター
GI・GIIでは【0.0.0.3】掲示板内なし。クラスが上がることで追走により苦労し、前も簡単には止まらないことで相対的に着順が下がってしまっているのが現状だ。今回の条件で強調材料は乏しい。
・オオバンブルマイ
前走キーンランドCは上がり3F最速の脚で3着。国内復帰戦としてはまずまずの内容と言えるだろう。とはいえスプリントの流れに苦労したのも事実だし、母父ディープインパクトを持つ馬の中山芝1200m重賞成績【0.0.0.9】を見るより舞台適性も気がかりだ。
・サトノレーヴ
スプリント戦を3連勝中と、ここにきて頭角を現してきた上がり馬。使われるたびに2着馬との差を離しているように、目下の充実ぶりは出走馬中NO.1と言える。ただ、盤石かと言われればYESとは言い難く、ロードカナロア産駒は中山芝1200m重賞で【1.2.1.23】勝率3.7%。当舞台の3走前勝利時も重賞馬券内のない馬に僅差だった。この馬のために来日するD.レーンの手綱は心強いが、それを加味しても死角なしと断定するには躊躇してしまう。
・ダノンスコーピオン
ロードカナロア産駒の庭である中京芝1200mでもフタ桁着順の前走。ここでの一変は難しいだろう。
・トウシンマカオ
前走セントウルSを制し、4度目の重賞タイトルを獲得。2-4着馬が道中3番手の前残り決着のなか、4角10番手で大外から豪快に突き抜けたレース運びは着順以上の強さを感じさせるものだった。右回りの直線急坂コースは【3.0.0.0】と負け知らず。有力馬の意識が前に向くであろう展開面も含め、侮れない1頭だ。
・ナムラクレア
過去10年スプリンターズSにおいて、前年9月以降に勝利がない4歳以上の牝馬は【0.0.0.12】。ピークアウト気味の牝馬が一変をはたすのは困難を極めるとのデータだ。前めのポジションを確保した代償で伸び脚を欠いた前走内容から、ここは思い切って控える競馬も考えられる。展開がハマッた際の3着は想定したいところだが……。
・ビクターザウィナー
マッドクールが逃げ切り、11番人気のウインカーネリアンが2番手から4着に粘り込んだ今年の高松宮記念。そのレースで先手を奪い、3着に入ったのが本馬だ。タフな馬場コンディションだった当時は前が止まらない展開利あり。横山典弘に乗り替わったピューロマジックが控える競馬を選択した際の利は考えておきたいが、中心に据えるには躊躇してしまう。
・ピューロマジック
直線平坦コースの成績【4.0.1.1】に対し、急坂コースは【0.2.0.2】。一線級の馬相手に惨敗の前走内容も含め、急坂中山での巻き返しはハードルが高いと言わざるを得ない。
・マッドクール
スプリンターズS2着、高松宮記念1着とこの路線のトップグループに位置する馬。オープンクラスでの凡走は熱中症のような症状が見られたというCBC賞と海外でのレースに限定されている。中山芝1200mは【1.1.0.0】連対率100%。当然印は入ってくる1頭と言える。
・ママコチャ
休み明けの前走セントウルSは2着と好走。牝馬の斤量57キロは楽な条件とは言えなかったが、勝ち馬と0秒1差なら上々と言えそうだ。叩き2戦目は【4.0.0.0】と負け知らず。4勝中3勝は2着に0秒4差以上の完勝で、得意ローテかつ主戦騎手で臨む今回は一気にパフォーマンスを上げる可能性を想定すべきだ。
・ムゲン
能力比較の難しい外国馬だが、戦績を見るより時計のかかる馬場が合う印象。仮に稍重でも1分7秒-8秒台前半は出るであろう今の中山芝適性には疑問が残る。
・モズメイメイ
この夏に復活を遂げた4歳牝馬。条件不問で大崩れのない近走内容は立派も、前走セントウルSを見ると上位2頭とは力差があった印象を受ける。これまで使われたGIレースはすべてフタ桁着順。上位進出は至難の業か。
・ルガル
惨敗を喫した高松宮記念以来のレース。有力馬との比較で順調さを欠くローテーションである事実は否定できない。関東圏での出走もなく、ここは厳しい戦いが予想される。
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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年9月26日 18:00公開の記事)
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。