ドジャース大谷翔平投手の「50-50」達成など、球史に残る偉大な記録も飛び出た2024年シーズンのMLB。その一方で、ホワイトソックスのシーズン121敗など不名誉な記録も生まれた。
先日MLB公式サイトに掲載されたマイク・ペトリエロ氏による「現時点でのMLB30チームランキング」と題された記事では、今季の成績を参照しながら来季のチャンピオンを狙う各チームの動向が紹介されている。この記事では30球団中“ドン底”の28位~30位、ワースト3にランクインした各チームの成績を振り返りながら、来季どのような改善を行うことで上位に食い込めるのかを考察していこう。
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目次
■2019年に世界一も現在は再建期
28位:ワシントン・ナショナルズ
今季、71勝91敗でナ・リーグ東地区4位という成績に終わったナショナルズ。記事では、同地区で最下位だったマーリンズよりも1つランクの低い28位に位置づけられている。2019年に球団史上初のワールドシリーズ制覇を果たしたものの、翌年は最下位に沈むなど黄金期は長く続かず。マックス・シャーザー投手、トレイ・ターナー内野手、カイル・シュワーバー外野手、フアン・ソト外野手といったチームの主軸を放出するなど再建期に突入した。今季も夏のトレードラインで売り手に回り、ジェシー・ウィンカー外野手、ハンター・ハービー投手、レーン・トーマス外野手、ディラン・フローロ投手らを放出し若手を獲得している。
記事では「今季前半ベテラン選手の力を借りて勝っていたものの、トレード放出後最後の3か月で32勝47敗に終わった」「ファースト、サード、センター、ライト、ローテーション、ブルペンなどで下位10位の予測となっている」という理由でこのランキングに位置したとあるように、圧倒的に選手層が薄いのが悩みのタネ。
しかしながら、ルイス・ガルシア内野手、CJ・エイブラムス内野手ら生きの良い若手が徐々に育ちつつあり、ディラン・クルーズ外野手、ブレイディ・ハウス内野手といったプロスペクトも控えているだけに彼らの成長次第では大きく飛躍する可能性もある。記事では「チームをまず競争力のあるチームに、そして次のレベルに引き上げるのに役立つ、高額のベテラン選手を加えるには、今が絶好のタイミングだ」と締めているが、ナショナルズが今季のFA戦線で積極的な補強をするのかどうか。再建期間も終盤を迎えつつあるチームの動向には注目が集まる。
■121敗からの逆襲なるか
29位:ホワイトソックス
ア・リーグ中地区において41勝121敗、1900年以降MLBワーストの敗北数という不名誉な記録を打ち立ててしまったホワイトソックス。打撃面の指標ではほぼすべてがリーグ最下位になっており、OPS.700を超えた選手もポールデ・ヨング内野手とトミー・ファム外野手のたった2人。彼らも夏のデッドライン前にトレードに出されてしまっている。投手陣も多くの指標で最下位の成績に甘んじているが、今季先発転向したギャレット・クロシェ投手は200奪三振を記録するなど孤軍奮闘の働きをみせた。ワールドシリーズを戦ったドジャースにマイケル・コペック投手、ヤンキースにティム・ヒル投手を放出すると両投手ともに移籍後大活躍をみせたことからもチーム状況の悪さが垣間見える。
記事でも「まず、チーム再建をどこから始めようか」と綴られているように課題は山積みだが、最も大きな関心ごとは今季大成長をみせたクロシェのトレードだろう。チームもトレードに向けて前向きな姿勢をみせており、ドジャース、フィリーズをはじめ多くの球団が獲得に名乗りを上げるとみられる。交換相手は野手と見られており、クロシェと引き換えに今季最低成績だった打撃陣を改善する人材を求めるだろう。
さらに、5ツールプレイヤーとして評判のルイス・ロベルト外野手の扱いにも気になる。昨シーズンは大谷翔平と本塁打王を争った有望選手は今季は故障もあり低迷。シーズン中もトレードが噂されていただけに、チームとしてどのような対応を取るのかは注目だ。
ペトリエロ氏が「コルソン・モンゴメリー、ドリュー・ソープ、ミゲル・バルガス、カイ・ブッシュ、エドガー・クエロが貢献し、ノア・シュルツやハーゲン・スミスがメジャー昇格できるほどになれば、成功したシーズンになるかもしれない」と綴るように、トレードで獲得した選手を含め若手で活躍しそうな駒は揃っている。若手の躍進がホワイトソックス再建の鍵となるのは間違いなさそうだ。
■ホワイトソックスよりも低評価の球団とは?
30位:ロッキーズ
シーズンワースト121敗のホワイトソックスよりも低い最下位にランク付けされたのがロッキーズ。61勝101敗で2年連続の100敗、さらに3年連続地区最下位となったチームの最重要課題は投手陣の整備だろう。ライアン・フェルトナー投手、オースティン・ゴンバー投手、キャル・クワントリル投手の3人がローテーションを守りつつも、目立った成績はなく防御率は3人とも4点台と、ローテーション投手としては満足のいく数字ではない。記事でも「2025年の先発ローテーション予想の5分の3が、2018年の先発ローテーションの主要メンバーでもあるというのは、いささか信じがたい」と語られるように、主だった補強もない先発投手陣は来季も不安が残る。
しかし、野手陣に目を向けてみると明るい兆しも。昨年からレギュラーとなり、今年3月には7年総額6300万ドルで契約延長した若干22歳のエゼキエル・トーバー内野手がゴールドグラブを獲得。さらには、ブレントン・ドイル外野手も2年連続でゴールドグラブと、センターラインが固まったのは非常に大きい。また、55試合に出場したジョーダン・ベック外野手、16試合に出場したドルー・ロモ捕手といった未来を担う若手も来季以降の戦力として期待が高まる。
長きに渡ってチームを支えたフランチャイズプレイヤーであるチャーリー・ブラックモン外野手の引退が象徴するように、若返りに舵を切り始めているロッキーズ。来季急速に成長し、上位に食らいつくような展開は考えにくいが長い再建期が終わる頃には楽しみなチームになっているかもしれない。
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