【AJCC/追い切り診断】反動皆無で“文句なしの状態”に「S」の最高評価 ラストも弾けて「能力全開に期待していい」

【AJCC/追い切り診断】反動皆無で“文句なしの状態”に「S」の最高評価 ラストも弾けて「能力全開に期待していい」

第66回アメリカJCC(26日/GII、中山芝2200m)には、中山2200m重賞2勝のレーベンスティール、中山巧者のコスモキュランダ、有馬記念3着のダノンデサイルなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ダノンデサイル」を取り上げる。

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■ダノンデサイル

【中間調整】京成杯でのちの菊花賞馬アーバンシックを破り重賞初制覇。皐月賞はハ行で除外となり、4カ月半ぶりの実戦だった日本ダービーはスローからの決め手比べとなったなかインを鋭く突いて2馬身差の完勝を収めた。世代ナンバーワンの実力を信頼され、ラスト1冠・菊花賞では1番人気に推されるも、ここは内枠が仇となり番手を大きく下げた影響で0秒7差6着まで。菊花賞の悪いイメージを払拭すべく、鞍上が逃げの手に出た有馬記念は後続に早く動かれる誤算はあったものの3着を確保。古馬一線級相手に堂々たる結果と言えたが、指揮官・安田翔師は「これからの期待感よりも危機感の方が強い」とレース後にコメントしている。

その後の動向に注目されたが、陣営は在厩中4週でAJCC参戦へ舵を切ってきた。激戦GIの2週後、年明け1月4日にさっそく坂路4F55秒0(馬なり)と速い時計を出し10日には坂路4F51秒1の自己ベストを更新。これまで同馬が51秒台をマークした際はラスト1Fが失速ラップとなっていたが、今回は馬なりで12秒4-12秒2と加速ラップだった。またいわゆる週なかの追い日以外の調整では、1日に2回坂路で追う“2本追い”を導入。とてもGI後とは思えない、体力の有り余りぶりには目を見張るものがある。1週前は今回新コンビを組む戸崎騎手が栗東へ駆け付け、CWで併せ馬。準オープン馬を外マクリで追走するハードな内容も馬なりであっさりこなし、自己ベストではないにせよこの馬にとってかなり速い5F64秒9をマーク。もちろん折り合いはしっかりしており、ラスト1Fは11秒2(馬なり)と弾けた。

【最終追い切り】レース当週は安田翔師を背に息を整える程度の坂路調整となった。併走相手は今週出走する準オープン馬とあって、いい抵抗を示すが、ダノンデサイルはまとまりのあるフォームを崩さず馬なりのまま併入としている。

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【見解】「危機感」の内容について詳らかにはされていないが、おそらくメンタル面の問題か。そのあたり近代競馬では異例の有馬記念→AJCCと間隔を詰めて使うことで刺激になれば……ということかもしれない。もちろんその異例ローテを下支えする体調面の充実がカギだが、上述の通りGI後とは思えない調教量をこなしており文句なしの状態。体力の底上げによって、落ち着き過ぎてきたであろう気力面の再チャージは図られるはず。横山典騎手は早めにマテンロウレオへの騎乗が決まっており今回は手離れするが、きちんと了解を得たうえでの乗り替わりで癖などはしっかり戸崎騎手に伝わっているとのこと。このあたりも好感が持てるし、能力全開に期待していい。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。