突然だった開催地変更
ところが想定しなかったニュースが飛び込んでくる。
「五輪マラソンは札幌開催」
各社報道陣が服部選手のもとに駆けつけ、その心中を質問された。残念なこともあったはずだが、本当に言いたいことはすべて内側にしまい込んだ。
「札幌に変わったといっても、当日の気象状況次第ですよね。暑くなることもあるので、準備を万全にして臨みたいです」
すでに札幌のコースは情報収集済みだ。特徴はカーブが多く、直角コーナーもあるということ。道幅も東京で計画されていたものより狭いので、コース取りは重要だと言う。
「30km以降で先頭集団に残っていたい。メダル争いに加わりたいと思っていますが、そんなに簡単なことではないので……」

撮影:山口和幸
ふるさとからの応援の力
新潟県の十日町出身。陸上の名門・仙台育英高で頭角を現した服部選手だが、バックボーンは新潟にある。
「新潟県の人たちの応援が力になります。ふるさとに帰って走っていると、みんなが頑張れと応援してくれます。その恩返しはレースの結果しかないです」
走っている姿からなにかを感じてもらえたら。新潟は雪深くて、走る期間も短いけれど、頑張れば強くなれることを子どもたちに伝えたいという。
そんな服部選手を温かく見守ってくれている家族全員に感謝していると語る。学生時代に「マラソンを職業にしたい」と言ったとき、親は「それでは食べていけない」と反対した。
「それを実現できたことはうれしいです」
8月9日、本番に向けて
今後の実戦としてはトラックレースを2本、ハーフを1本走る予定だ。フルマラソンのために完璧に調整するのは3カ月かかるといい、この春から8月9日の本番に向けた調整に入り、しっかりとこなしていきたいという。
3月12日、1964年の東京五輪男子マラソンで銅メダルを獲得した円谷幸吉さんの墓前で活躍を誓った。円谷さんのお兄さんにも話を聞いた。56年前に走った人が自分自身に言い聞かせていたことは、「自分のペースで走れ」だった。
「いつも通りのレースを心がけようと思います。自分の持てる力を最大限に発揮することです。プレッシャーもあるけど、夢の舞台でもあるんです」

(c)日本陸上競技連盟
≪山口和幸≫
≪関連記事≫
服部勇馬、「国の代表として戦うこと」への認識を新たに より速さを求めて五輪へ
前田穂南、東京五輪に向け「自分の走りを最後まで」 語った本番への抱負
鈴木亜由子「しっかりと自分の力が出せるレースを」 五輪本番での使命
一山麻緒、東京五輪に向けて「コツコツ」と スタートラインで自信を持つために
松田瑞生がこらえきれずに流した涙 「気持ちの整理をつけて新しいチャレンジを」









