バスケ対ダンス、Bリーグ vs Dリーグ in宇都宮 史上初ダンスバトルの軍配は……

 

◆Bリーグ vs Dリーグ in宇都宮 ダンスバトルの軍配は……

世界初日本発」と銘打ったダンスのプロリーグ、そのファーストシーズンは2021年1月10日に東京・有明アリーナで華々しく開幕。ソフトバンクが誇る5G LABによる中継もあり、その模様は自宅にいながらにして堪能できるものの、新型コロナ対策に万全を期し3月のラウンド5まで、これまで無観客で開催されて来た。

ダンス……それはやはり魅せるパフォーマンス。これまで観客抜きで行われてきた事実は、パフォーマーとして忸怩たる思いがあっただろう。

そんな大前提がありつつ、「Dリーグ vs Bリーグ」、初のコラボレーションを終えた後、I’moonおよび8 ROCKSそれぞれに、この初めての試みについて感想を聞いた。

■「お客さんの顔を見たら泣きそうになりました」

USEN-NEXT I’moonのAIRI

I’moonのAIRIは冒頭から「お客さんって必要!と思いました」と愛想を崩した。Dリーグが開幕してからは5戦連続して無観客試合。新型コロナに社会そのものが席巻された2020年はプレス・カンファレンスも含め、まったく観客抜きのパフォーマンスを強いられてきた。この日、栃木県宇都宮のブレックスアリーナでは、収容人数の半分とは言え、リアルに観客あってのパフォーマンス。ハーフタイムにコートに出た瞬間「お客さんの顔を見たら泣きそうになりました」とのこと。どれだけ観客を入れての演技を渇望していたのか窺い知れる。

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しかし「ふだんはダンスを観に来てくれるファンの前で踊りますから(バスケファンに)最初は受け入れてもらえるかどうか、とても不安でした。以前まったく別のお仕事では、こうした合間のパフォーマンスの前に帰ってしまうファンもいたので……」と不安もあった。ハーフタイムでのダンスバトルとはいえ、本来はBリーグ、バスケットボールの観戦に足を運んでいるファンたち、そして新型コロナ対策のため、声援を送ることを禁じられている……それだけにどんな反応になるかは懸念された。

「でも、大きな拍手で迎え入れてくれて(声援を送ることができない分だけ)、ブレックスの黄色いタオルをものすごく振ってくれて、拍手だけでなく、足踏みが響く応援で歓迎されて、しっかり観てくださっているのが感じられました」とその感動さえも口にした。

Bリーグのアリーナでパフォーマンスを披露したこの経験から、インスパイアされたこととして「私たちも(Dリーグというプロスポーツリーグなので)こうした感じで、ホームとアウェイがあるかたちでバトルをしてみたいです。自分のホームでは、アリーナでは、私たちを応援してくれるファンでいっぱい……その逆もあり。そんな新たな夢を描いてしまいました」と自身の理想を口にした。

■コートにあわせた構成でバスケファンにも実力を披露

KOSE 8ROCKSのISSEI

8ROCKSのディレクター兼パフォーマーでもあるISSEIは、このホーム&アウェイという発想について「それはいいですね。面白そうです! アウェイだと逆に観客がみんな相手チームを応援するわけですよね。逆にアドレナリンが出て『よし! やってやる!』という闘争心を全面に出すこともできる。ぜひやってみたいです」とAIRIの発想について大賛成のようだ。

そしてやはり「お客さんの前で踊るのは本当に久々なんで楽しかったです。そして、リーグとしても初めての交わりなので、しっかりパフォーマンスできて嬉しい」とその喜びも語った。

一方、いつもと異なる舞台、バスケットコート上での難しさについては「バスケットコートはけっこう踊りやすかったですね。ただ、いつものステージと比べるとあまりにも広すぎるし(正面に向かってパフォーマンスするリーグと異なり)360度から観られる、それを意識した構成にしなければならない。ブレイキンというカテゴリーからしても小さく見えないよう、いつもよりもダイナミックな動きを心がけないとならず、なんとかうまく実力を見せることができたと思ってます」とその感想を口にした。

■リーグを横断したコラボで今後の領域開拓にも期待

ダンスとして侮るなかれ、もちろん自身の身体で表現するだけに、ケガもついてまわるのだという。普段のトレーニングも筋トレのように必要のない筋肉を身にまとうのではなく、体操選手と同様にパフォーマンスの中で必要な筋肉だけを身につけるのだという。

「筋トレだと予期しない部分に筋肉がついてしまって、関節の可動域が狭まってしまうケースも多い。なので余計な筋トレはしません。意外にケガも多いです。靭帯を痛める、また脱臼も多いですね。首のヘルニアもブレイキンならではです」。やはりプロともなるとダンスもアスレティシズムを必要とするスポーツである事実が把握できるエピソードだ。

昨年から新型コロナウイルス蔓延により苦境を強いられるスポーツ界ながら、こうしたリーグ同士のコラボレーションなどにより、新しい領域を開拓、次の世代へとスポーツの力を広めて欲しいもの。

Dリーグは次戦ラウンド6より、いよいよ観客を迎えての戦いとなる。ファーストシーズンは残り3戦。果たして記念すべき初代チャンピオンは、どのチームとなるのか。こちらにもぜひ注目したい。

この日、ブレックス宇都宮はシーホース三河に破れはしたものの、翌日リベンジを果たし、首位争いにとどまった点も付け加えておく。

日本中の「ダンサー」に幸せをもたらすDリーグ 魂までが踊りだす喜びがここにある

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©TOCHIGI BREX INC.

【Bリーグマスコット図鑑 #07】ブレッキー(宇都宮ブレックス)

著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨークで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。

著書に『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』、『麗しきバーテンダーたち』など。

izukawaya