■未だ破られていない野茂の“MLB記録”
その後、ダルビッシュ有、岩隈久志、上原浩治、田中らが選出されたものの、大谷が出場するまで、日本人のオールスター先発投手は野茂ただひとりだった。もっともダルビッシュのケガさえなければ今年、「ダルビッシュvs大谷」という日本人先発投手同士の投げあいも可能性があっただけに、少々残念だ。
球宴開催となったデンバーのクアーズ・フィールドは標高約1600mにあり、かつてロッキーズに所属した吉井理人は空気が薄いため「頭が痛くなって困る」とコメントしていたほど、打球が飛ぶことで知られるが、1995年の開場以来、このスタジアムでノーヒットノーランを達成した投手も、野茂ただひとりだ。
■ロッテ吉井理人投手コーチのロッキーズ時代を振り返る コロラドは「頭が痛い」
■日本人メジャーリーガーの系譜を引継ぎ、ついに大谷がオールスターの舞台へ

エンゼルス・大谷翔平(C)Getty Images
日本人でオールスターと言えば、やはりイチローだろう。彼もまたパワーヒッター全盛の2001年にメジャーデビュー。「日本人バッターは通用しない」と揶揄された時代に、その超人的なバットコントロールとスピード、さらに「AREA51」とまで呼ばれたその守備で、すぐさまメジャーファンを虜にし、新人ながら両リーグ最多の337万票以上を獲得し、出場を決めた。以降ファン投票選出9回を含む10年連続で出場を果たした。
2007年にはメジャー球宴史上初のランニングホームランを放ち、オールスターMVPに輝いた。これはまだ「記憶に新しい」と思っていたら、もはや14年も前の出来事だった。日本人メジャーリーガーなど皆無だった昭和を知る者として、このイチローのMVPを含め、リーグチャンピオンシップMVPの上原、ワールドシリーズMVPの松井秀喜、最多勝投手のダルビッシュなど夢のまた夢のような気がする。
さて、こうした鮮烈な記憶を残した日本人メジャーリーガーの系譜を継ぎ、大谷は明日「1番DH・ピッチャー」として野茂以来オールスター先発登板する。ホームランダービーでは再延長の末、惜しくも1回戦敗退となったものの、明日はいったいどんな活躍を魅せてくれるのか、世紀の舞台での活躍を目に焼き付けたい。
著者プロフィール
たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー
『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨークで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。
MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。
推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。
リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。
著書に『My Lost New York ~ BAR評論家がつづる九・一一前夜と現在(いま)』、『麗しきバーテンダーたち』など。















